南部諸州

南部諸州（アラビア語: الأقاليم الجنوبية、フランス語: Provinces du Sud）またはモロッコ領サハラ（アラビア語: الصحراء المغربية、フランス語: Sahara marocain）は、モロッコが西サハラ地域に対して使用している名称です。この地域を巡る紛争の歴史は深く、複雑な背景を持っています。

1975年、モロッコはスペインとの間でマドリード協定を締結し、サギア・エル・ハムラとリオ・デ・オロの北部に対する支配権を獲得しました。一方、モーリタニアはリオ・デ・オロの残りの部分、ティリス・アル・ガルビーヤを支配下に置きました。しかし、この地域にはサハラ人の政治組織であるポリサリオ戦線が存在し、アルジェリア政府の支援を受けながら、独立を求めてゲリラ闘争を開始しました。フランスの支援にもかかわらず、モーリタニアは1979年にこの地域からの撤退を余儀なくされました。その後、モロッコはサギア・エル・ハムラの残りの部分も支配下に収めました。

国際連合の仲介により、1991年に停戦合意が成立し、現在では地域の大部分がモロッコの統治下にあります。しかし、ポリサリオ戦線は依然として、人口希薄な地域を支配下に置き、完全な独立を主張しています。停戦ラインは砂の壁によって区切られており、両者は領土全体の支配を主張し続けています。サハラ・アラブ民主共和国は53カ国から承認されており、アフリカ連合の正式な加盟国となっています。一方、モロッコの領土保全はアラブ連盟から明確に承認されています。

モロッコは、支配下の地域を行政単位（wilayas）に分割し、ブジャドゥール、スマラ、アイウンの3つの行政単位のために旗と紋章を制定しました。その後、ダクラが加わり、1990年にはal-Dhahab（リオ・デ・オロ）が追加され、4つの行政単位に再編されました。このように、南部諸州はモロッコにとって重要な地域であり、その領有権を巡る問題は依然として未解決のままです。

この地域の将来については、住民投票の実施などが議論されていますが、具体的な解決策は見出されていません。国際社会は、関係各国に対し、平和的な対話を通じて問題の解決を目指すよう働きかけています。南部諸州の平和と安定は、地域全体の安定にも不可欠であり、今後の動向が注目されます。

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