南部運動

南部運動の概略

南部運動（アラビア語: الحراك الجنوبي‎）は、イエメンの南部地域で活動する政治的かつ準軍事的な団体です。2007年以降、彼らはイエメン共和国からの独立を強く求めています。近年では、南部運動の政治的な代表組織である南部暫定評議会が、アデンや他の重要な港湾都市を事実上掌握しています。

歴史的背景

南部運動の起源は、1990年のイエメン人民民主共和国とイエメン・アラブ共和国の統合後にさかのぼります。1994年にはイエメン内戦が勃発し、一時的に南部の指導者たちは権力を失い、厳しい状況に置かれました。彼らはイエメンから追放され、その後南部独立を支持する声は一時的に鎮圧されましたが、地域の不満は根強く残りました。

政府への不信感は、腐敗や不正選挙に対する批判、さらに南部住民が自らの資源を搾取されているとの感覚から生じていました。南部地域では、土地や資源が北部の政府関係者によって奪われ、多くの住民が早期退職を強いられるなど、経済的な不満が蓄積されていました。

2007年からの抗議運動

2007年には、年金未払いに苦しむ人々が小さなデモを行い、経済的および政治的な疎外感を訴えました。この抗議活動はアデンに広がり、その結果、南部独立の再提起となりました。政府は抗議者を「国家の背教者」と呼び、弾圧を強化しましたが、これが南部運動の活発化を招く結果となりました。

南部運動は、北部からの完全な離脱を求めるグループの連合体であり、抗議行動は政府の弾圧に遭いつつも続けられました。旧南部共和国の旗を掲げる行為は、政府により犯罪視されることが多かった一方で、地方では頻繁に行われていました。

2015年以降の発展

2015年には、アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領との連携を強化し、フーシ派勢力に対抗するための重要な役割を果たしました。サウジアラビアを中心とした連合軍からの支援を受け、南部運動は新たな力を得ることとなりました。

その後、南部暫定評議会を通じて、旧南部共和国の元領土での影響力を持つようになり、アデンからハドラマウトにわたる地域でその存在感を強めています。彼らは元南部共和国の旗を掲げ、活動を続けています。

2020年以降は、南部暫定評議会がハーディー大統領との同盟から離脱し、地域全体を掌握しました。また、南部運動の指導者たちは、イランの影響を抑えるべく、アラブ首長国連邦と関係を築くなど、国際的な戦略を展開しています。彼らの活動は、イエメンの政治情勢において重要な要素となっているのです。

現在の状況

南部運動は、引き続きイエメン南部地域の独立を求める活動を続けています。地域の住民は、過去の歴史や文化を持ち続け、彼らの独自性を主張している一方で、政治的、経済的な声を上げ続けています。この運動は、イエメンにおける分裂や対立の象徴ともなっており、その動向は国際的に注目されています。

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