南都暦

南都暦（なんとごよみ）

南都暦は、中世から近世にかけて奈良を中心に頒布された地方暦のことで、奈良暦、幸徳井暦、南京暦といった別名でも知られています。

歴史

暦家として知られる賀茂氏の一族で、奈良に居住していた幸徳井家が、この暦の頒布を担っていました。『大乗院寺社雑事記』には、長禄元年（1457年）を最初として、毎年末に幸徳井家から興福寺大乗院へ新年の暦と八卦が献上されていた記録が残っています。しかし、奈良の寺院には、それ以前の年紀が記された独自の暦が現存していることから、幸徳井家が関わる以前から、すでに摺暦が編纂されていたとする説も存在します。初期の暦は巻物型の巻暦でしたが、後に冊子型の綴暦へと形を変えていきました。

制作と販売

実際の暦の制作を担当したのは、中尾氏、山村氏、藤村氏、吉川氏など、12名の暦師と定められていました。これらの暦師のほとんどは、奈良市中の陰陽町に居住していました。また、販売においては、春日大社の講の組織が活用されていたと言われています。

江戸時代

江戸時代になると、南都暦の販売地域は大和・伊賀両国に限定されました。そのため、暦師の数に対して発行部数はそれほど多くはなかったと考えられています。

参考文献

* 岡田芳朗 他編『暦を知る事典』東京堂出版、2006年、pp.133-133. ISBN 978-4-490-10686-2

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