南阿蘇鉄道DB16形ディーゼル機関車

南阿蘇鉄道DB16形ディーゼル機関車

南阿蘇鉄道DB16形ディーゼル機関車は、2007年（平成19年）にDB10形ディーゼル機関車の代替として2両が製造された、南阿蘇鉄道のトロッコ列車牽引用の機関車です。

概要

南阿蘇鉄道は、1986年（昭和61年）4月に旧国鉄高森線を第三セクター鉄道として転換し開業しました。開業当初から将来的な乗客減少を見込み、沿線外からの観光客誘致のため、トロッコ客車を機関車2両で挟む観光列車を運行してきました。長年活躍してきたDB10形機関車の老朽化に伴い、後継機として製造されたのがDB16形です。北陸重機工業で2両が新造され、DB10形を置き換えました。外観はDB10形のイメージを継承しつつ、エンジン出力を242.7 kW（330 PS）に強化しています。

導入にあたっては、日本宝くじ協会の助成金が活用され、宝くじ号として運用されています。2007年3月からトラ700形2両を挟む編成で運転を開始、同年5月にはTORA200形1両が編成に加わりました。これにより、トロッコ列車の輸送力と快適性が向上しました。

車体

DB16形の外観は、前述の通りDB10形のイメージを継承して設計されています。車体は茶系で塗装されており、沿線の自然に溶け込むような落ち着いた印象を与えます。これは、トロッコ列車の観光列車としての側面を強調するものです。

走行装置

エンジンには、日産ディーゼル工業製のPF6TA14ディーゼルエンジン（直列6気筒、排気量12,503 cc）が採用されています。変速機は、3要素1段2相形、正転2段、逆転2段の液体式(8-1500)です。この変速機は、スムーズな加減速と効率的な動力伝達を可能にし、トロッコ列車の快適な運行に貢献しています。また、客車2両を挟んで総括制御が可能で、これにより機関車の操作性が向上し、安全な運行が確保されています。制動装置として自動空気ブレーキを備え、列車の安全な停止をサポートしています。

車歴

DB16形は、南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」の牽引機として活躍しています。「ゆうすげ号」は、1986年7月26日に運転を開始しました。当初は、国鉄の無蓋貨車を改造した客車を、DB10形機関車2両で挟む編成でした。しかし、DB10形の老朽化により2006年の運転を最後に廃車され、翌年以降は新造されたDB16形が牽引機を務めています。客車も改装され、快適性が向上しています。現在、DB16形は3月から11月末の土日祝日を中心に運転され、夏休み、春休み、ゴールデンウイーク期間は平日も運行されています。

2016年4月16日に発生した熊本地震により、南阿蘇鉄道も大きな被害を受け全線が運休となりました。しかし、同年7月31日には中松駅 - 高森駅間で運行を再開し、トロッコ列車も同区間で運転を再開しました。これは、地域住民や観光客にとって大きな喜びとなりました。復旧後のDB16形は、再び南阿蘇の風景の中を走り、多くの人々を魅了しています。

参考文献

『鉄道ピクトリアル』通巻480号「新車年鑑1987年版」（1987年5月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻795号「鉄道車両年鑑2007年版」（2007年10月・電気車研究会）
『鉄道ピクトリアル』通巻810号「鉄道車両年鑑2008年版」（2008年10月・電気車研究会）
南阿蘇鉄道公式サイト

これらの資料から、DB16形の詳細な情報や南阿蘇鉄道の歴史を知ることができます。


以上が、南阿蘇鉄道DB16形ディーゼル機関車の詳細な説明です。

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