単宇

単宇（ぜん う、生没年不詳）は、明代中期に活躍した官僚であり、文人としても名を残しました。字は時泰、号は菊坡と称しました。その本貫は撫州府臨川県にあります。

官僚としての生涯は、1439年（正統4年）に進士に及第したことから始まりました。最初に任じられたのは嵊県知県であり、そこで彼は部下の胥吏に対して厳格な統制を行いました。しかし、その厳しさが原因で、恨みを抱いた胥吏による誣告を受け、一時的に逮捕され獄に下されるという不運に見舞われました。しかし、彼の無実が証明され、ほどなくして諸曁知県に転任することとなりました。

その後、親の死去に伴い、単宇は一旦官職を辞して喪に服しました。喪が明けると、北京で再び任官の機会を待ちました。1449年（正統14年）に発生した土木の変で、皇帝である英宗がオイラトに捕らえられるという未曾有の事態に際し、単宇は宦官が軍の指揮に介入したことが諸将の適切な判断を妨げ、結果として軍を失うことになったと強く非難しました。彼は、宦官の監軍を全員罷免し、将軍に軍事に関する全権を与えるべきであると主張する上疏を行いましたが、残念ながら景泰帝に受け入れられることはありませんでした。

かつて英宗の時代に権勢を誇った宦官の王振は、大興隆寺を大規模に修築し、多くの人々を強制的に出家させるなど、仏教を偏重した政策を推し進めていました。単宇は、この状況を憂慮し、寺の建物を撤去して軍営を建設し、仏像や仏具に使用されている銅や鉄を兵器に改鋳し、僧尼を還俗させるべきであると上書しました。その後、侯官知県に転任しました。しかし、1451年（景泰2年）には、鎮守福建太監の廖秀によって鞭打ちを受け負傷するという事件も経験しました。

単宇は、学問を深く愛し、文人としての名声も高く、その才能を活かして三度も知県を務めました。いずれの地においても、慈恵に満ちた政治を行ったことで知られています。著書として『菊坡叢話』26巻を遺しており、その中で彼の思想や見識を知ることができます。

単宇の生涯は、官僚としての職務を全うする一方で、不正を正し、民を思う心を持ち続けた人物として、後世に語り継がれています。

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