単層円柱上皮

単層円柱上皮について

単層円柱上皮（たんそうえんちゅうじょうひ、英: simple columnar epithelium）は、主に胃や腸の粘膜上皮に存在する特異な上皮組織です。この上皮は、伸展された場合に他の様々な上皮と比較しても広大な面積を持っています。観察すると、横断面では円柱のような形状を呈しますが、実際には六角形に配置されており、隣接する細胞と密接に接触しています。

また、子宮や卵管、細気管支などの一部には、線毛を持つ単層円柱上皮も見られ、これを単層円柱線毛上皮と呼びます。このような上皮は、被蓋上皮という特性を有しつつ、特定の機能を果たす点が特徴です。例えば、小腸に見られる単層円柱上皮は、水分や栄養素を効率的に吸収する能力を持っているため、吸収上皮としても機能します。さらに、大腸や卵管においては、分泌細胞を含む腺上皮の機能も兼ね備えています。

組織の分布

消化器系

消化器系では、食道の上皮は重層扁平上皮ですが、胃に入ると単層円柱上皮に変化します。この上皮は小腸、大腸と連続しており、最終的には直腸の肛門端で再度重層扁平上皮に変わる特徴があります。これは消化過程において重要な役割を果たし、食物の処理や栄養の吸収に欠かせない存在です。

呼吸器系

呼吸器系において、気管や気管支は多列線毛上皮で構成されていますが、細気管支に進むと最初は単層円柱線毛上皮になります。その後、気道を進むにつれて細胞の高さが次第に減少し、最終的には単層立方上皮となります。これにより、空気の流れやガス交換がスムーズに行われる仕組みをもたらしています。

生殖器系

生殖器系では、卵管や子宮に単層円柱上皮が広がっています。この上皮は、受精卵の移動や子宮内膜の環境維持において重要な役割を果たします。

単層円柱上皮は、それぞれの生理的機能を考慮すると、消化、呼吸、生殖といった多様な組織において重要な役割を担っており、体内の様々な等所で欠かせない存在となっています。これらの上皮の理解は、医学や生物学において非常に重要であり、体の健康と機能維持に寄与しています。

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参考文献

• - 太田, 義邦、小林, 茂夫、見明, 清 編『歯科学生のための組織学実習』南江堂、1997年3月25日。
• - 太田義邦他『デンタルスタッフの人体解剖・組織学』（第2版3刷）医歯薬出版、2000年4月15日。
• - 藤田尚男、藤田恒夫『標準組織学 総論』（第3版14刷）医学書院、2001年3月1日。
• - 藤田尚男、藤田恒夫『標準組織学 各論』（第3版10刷）医学書院、2001年3月1日。

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