原嘉壽子

原嘉壽子（はら かずこ、1935年2月10日 - 2014年11月30日）は、日本のオペラ作曲家です。本名を原和子といい、東京府（現在の東京都）で生まれました。

東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業、同専攻科を修了後、イタリアのベネデット・マルチェッロ音楽院声楽科でも学びました。作曲を池内友次郎、デュティユー、コラデッティらに師事し、その才能を開花させました。同志社女子大学教授を務めた時期もあり、後進の育成にも尽力しました。その功績は高く評価され、芸術選奨文部大臣賞、ジロー・オペラ賞、紫綬褒章、旭日小綬章などを受賞しています。

原嘉壽子の特筆すべき点は、1978年から1999年の間に18曲ものオペラを作曲したことです。これらの作品は、日本オペラ振興会や二期会によって東京で初演されることが多かったのですが、中にはイタリアでも上演された作品もあります。彼女の作品は、日本の主題を好んで用いる傾向がありましたが、2作目のオペラではシャーロック・ホームズを題材にするなど、その作風は多岐にわたっています。また、1999年には新国立劇場でドストエフスキーの「罪と罰」を題材とした大規模なオペラを上演し、大きな話題を呼びました。

2014年11月30日、原嘉壽子は心不全のため79歳で生涯を閉じました。彼女の作品は、日本のオペラ界において重要な遺産であり、その芸術的な功績は長く記憶されることでしょう。なお、夫の原博も作曲家であり、音楽一家として知られています。

主な作品

ヴァイオリンとピアノのためのソナタ（1954年）
ピアノのためのソナチネ（1957年）
フルート、チェンバロ、弦楽のための小協奏曲（1966年）
オーボエ、ホルン、弦のための五重奏曲（1970年）
オペラ「智恵子抄」（1978年）
オペラ「告白〜シャーロック・ホームズの事件簿」（1981年）
オペラ「祝い歌が流れる夜に」（1984年）
オペラ「舌を噛み切った女」（1986年、1989年「すて姫」と改題）
オペラ「脳死を越えて」（1988年）
オペラ「よさこい節」（1990年）
オペラ「岩長姫」（1990年）
オペラ「トネールの不思議の樹」（1992年）
オラトリオ「マリアの生涯」（1993年）
オペラ「さんせう太夫」（1996年）
オペラ「罪と罰」（1998年）
オペラ「水の声」（1999年）

レコーディング

* オペラ「よさこい節」は、レーザーディスクとして発売されています。

原嘉壽子の作品は、その多様性と深みにおいて、日本のオペラ界に大きな足跡を残しました。彼女の音楽は、今後も多くの人に愛され、演奏され続けることでしょう。

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