原四郎 (ジャーナリスト)

原四郎（はら しろう）は、1908年2月15日に岐阜県高山市で生まれ、1989年2月15日に亡くなった、日本の著名なジャーナリストです。読売新聞の元副社長であり、日本記者クラブの初代理事長を務めました。

原は、1932年に法政大学文学部仏文学科を卒業後、新聞学院で学び、1933年に国民新聞に入社し社会部に配属されました。1936年には読売新聞社に移籍し、社会部記者として日中戦争に従軍しました。戦時中はマニラ支局長を務めるなど、海外での取材経験も豊富でした。

戦後、原は読売新聞文化部長を経て、1949年に社会部長に就任しました。社会部長時代には、新宿の暗黒街の粛正や繁華街での第三国人の暗躍を暴露した「東京租界」キャンペーン、東京中央魚市場の明朗化など、数々の社会問題に切り込むキャンペーンを企画・実施しました。これらの活動は、社会に大きな影響を与え、1953年には読売新聞社会部として第一回菊池寛賞を受賞しました。また、1954年にはビキニ水爆実験に遭遇した「第五福竜丸事件」をスクープするなど、読売新聞社会部の黄金時代を築き上げ、「社会部帝国」と称されるほどの組織を作り上げました。

その後、原は1957年に出版局長に就任し、縮刷版の発行や全集「日本の歴史」などの企画を成功させました。1965年には編集局長となり、「日本記者クラブ」の設立に尽力し、1969年の設立と同時に初代理事長に就任しました。1971年には副社長編集主幹に就任し、当時の読売新聞では、販売部門を担う務臺光雄と、編集部門を担う原四郎という、強力な実力者による住み分けが確立されました。

原は、1981年に読売新聞社の顧問となり、その後の活動を支えました。1991年にはマスコミ功労者顕彰を贈られ、2000年には国際新聞編集者協会が設立50周年を記念して世界の報道人50人を顕彰した際、日本から選ばれ、「世界報道自由ヒーロー賞」を贈られました。これは、ジャーナリストとしての原の功績が国際的に認められたことを示すものです。

原は、ジャーナリストとしての活動だけでなく、著書も多数執筆しています。『支那あちらこちら』や『野戦郵便局と兵隊』は、戦時中の貴重な記録として知られています。また、編集者としても『思ひ出の戦線 戦傷将兵の手記』や『読売新聞風雲録』などを手掛け、後世に貴重な資料を残しました。

原四郎は、そのジャーナリストとしての卓越した能力と、社会への貢献を通じて、日本の報道史に大きな足跡を残しました。

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