原在明

原在明の生涯

原在明（はら ざいめい、1778年9月21日 - 1844年7月29日）は、江戸時代後期に活躍した影響力のある絵師です。彼は初め近義の名で知られ、その後在明に改名しました。原在明は京都に生まれ、原派の著名な絵師である原在中の次男として育ちました。そのため、絵の技術は家庭環境から大きく影響を受けました。

家族と養子縁組

在明の兄である原在正もまた卓越した才能を持つ画家として知られていますが、早逝したため、在明は比較的早い段階で養子に出されました。寛政3年（1791年）、彼は縫殿寮史生の伊勢家に養子として迎えられました。養子としての経験は、彼のその後の人生やキャリアに重要な影響を与えました。在明はここで官位の授与やその他の特権を受けるなど、急速に地位を固めていきます。

絵師としての活動

文化3年（1806年）、兄の在正が勘当されたことにより原家の二代目として帰属し、以後は名を在明に改めました。彼は文化4年には江戸や日光へと訪れるようになり、その間も多くの活動を行いました。特に1833年10月には東大寺別当勧修寺門跡・済範入道親王の近習として、正倉院の開封に立ち会った際には、宝物の記録図を制作する重要な役割を果たしました。この図は、現在宮内庁書陵部に保管されています。

春日絵所と官位

天保5年（1834年）、在明は正六位下に叙され、内舎人に任官されました。また、春日大社の式年造替に関連する「春日絵所」職の株を獲得し、これが彼の官位に貢献したとされています。この銀行的な家業は、在明以来も原家に引き継がれていきました。彼はまた、内匠大允や大和介を兼任し、官職としても多忙な日々を送っていました。

終焉と後継者

在明は有職故実に詳しく、松岡辰方や山田以文から多くを学びました。1844年に67歳で亡くなりますが、実子の在謙は別の家に養子に出され、養子である原在照がその後を継ぎました。このような複雑な家族構成は、家格の向上を目指す原家の戦略的な判断であったと考えられています。

結論

原在明は、絵の技術だけでなく、家格や由緒も重視された江戸時代の時代背景の中で生き抜いた画家でした。彼の作品や活動は、京都の絵画界に多大な影響を及ぼし、その後の絵師たちにとっても重要な存在となりました。彼の生涯を通じて、官位、家族、技術が相互に影響し合いながら、江戸の美術界における位置付けを確立しました。

もう一度検索