原子炉安全性研究炉

原子炉安全性研究炉（NSRR）

原子炉安全性研究炉（Nuclear Safety Research Reactor、NSRR）は、日本原子力研究開発機構が運営する研究用原子炉です。茨城県東海村に位置するこの施設は、原子力事故に類似した状況を模擬し、安全な原子炉設計や運用方法を研究する目的で設立されました。

概要

NSRRでは、ウラニウムとジルコニウム合金からなる燃料を用いて、原子力事故が引き起こす影響の調査が行われています。この炉は、米国ゼネラル・アトミックス社によって製造されたTRIGA-ACPR型（円環炉心パルス炉）の研究用原子炉であり、負のフィードバック特性を持つため、短時間で高出力のパルス動作が可能です。この特性により、NSRRは安全に反応度事故を模擬することができます。

初めて臨界に達したのは1975年6月で、以来30年以上にわたって安定した運転を継続しています。これまでに3154回のパルス運転と1350回の燃料照射実験を行ってきました。初期は未照射燃料の試験を重点に行っていましたが、1989年以降は発電用原子炉等で使用された照射済み燃料の実験にシフトしています。

東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を受け、日本の原子力施設は新たな安全基準が定められ、それに適応すべくNSRRも原子力規制委員会の審査を受けました。2017年12月に新基準に合格し、2018年に再稼働しています。

設備と運転方法

NSRRは中深さ約9メートルのプール内に設置されており、この水は放射線の遮蔽に寄与し、運転中の炉を目視することが可能です。特に、パルス動作時にはチェレンコフ光が観察できるため、施設内での運転状態確認に貴重な情報を提供しています。

炉心は149本の燃料棒と11本の制御棒から構成されており、有効高さは約38センチメートル、直径は約63センチメートルです。この設計により、実際の運転条件下での詳細なデータ収集が行えます。

燃料実験

照射済み燃料を使用した実験では、長期間使用された燃料に見られる破損メカニズムの明らかにする研究が進められてきました。特に高燃焼度燃料に関しては、未使用の状態とは異なる特性を示すため、新たな知見を得ることができます。最近では、さらに長期間利用されたウラン燃料やウラン-プルトニウム混合酸化物燃料（MOX燃料）の実験も行われています。

仕様

• - 型式: 円環炉心パルス炉
• - パルス運転時最高出力: 約21,000MW
• - 定出力運転時最高出力: 300kW

このように、NSRRは原子力安全に関する貴重なデータの収集と解析を行いながら、より安全な原子炉設計の実現を目指しています。

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