原島弁護士の愛と悲しみ

『原島弁護士の愛と悲しみ』は、小杉健治による短編推理小説集であり、著者の初期作品5編が収録されています。表題作である「原島弁護士の愛と悲しみ」は、1983年に第22回オール讀物推理小説新人賞を受賞した小杉健治のデビュー作です。受賞時のタイトルは「原島弁護士の処置」でしたが、後にテレビドラマ化された際に現在のタイトルに変更され、文庫化の際にも同名で刊行されました。長らく絶版となっていましたが、2008年に光文社文庫より再版されています。

収録作品は以下の通りです。

原島弁護士の愛と悲しみ
弁護士の水木邦夫は、殺人事件の被告人である佐竹浩一の弁護を担当することになりました。佐竹が殺害したのは、かつて自分の妻子を殺害した罪で逮捕されたものの、二審で逆転無罪となった瀬川順平でした。この瀬川の二審を担当した弁護士こそ、原島でした。原島は過去に、自身の妻子を交通事故で亡くしており、その事故を起こしたのが当時17歳だった瀬川だったのです。原島が、個人的な復讐ではなく、社会正義のために弁護を引き受けたのか、それとも別の意図があったのか。複雑な人間関係と心理が絡み合い、物語は展開していきます。この作品は、1985年にTBS「恋はミステリー劇場」でテレビドラマ化され、緒形拳が原島役を演じました。また、1989年にはテレビ東京「月曜・女のサスペンス」でもドラマ化され、田村亮が原島役を務めました。

赤い記憶
この作品は、1985年に日本テレビ系列「火曜サスペンス劇場」でテレビドラマ化されました。北大路欣也が主演を務め、過去の出来事が現在の事件に影響を与える様子を描いています。

冬の死
詳細な内容は不明ですが、冬を舞台にした物語であることがうかがえます。

愛の軌跡
こちらも詳細な内容は不明ですが、愛をテーマにした作品であることが推測されます。

牧原博士、最後の鑑定書
この作品は、第21回オール讀物推理小説新人賞の候補作を改稿したものです。

この短編集は、弁護士という職業を通して、人間の愛と悲しみ、そして正義とは何かを深く問いかける作品となっています。各作品は、複雑な人間関係や心理描写が巧みに描かれており、読者を物語の世界に引き込みます。また、テレビドラマ化された作品も多く、映像作品としても楽しむことができます。

書誌情報

小杉健治、千街晶之（解説）『原島弁護士の愛と悲しみ』 光文社〈光文社文庫〉、2008年4月20日発行、ISBN 978-4-334-74408-3

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