絶版

絶版とは

絶版（ぜっぱん、ぜつばん）は、書物や出版物が再版されずに流通が停止することを指します。この概念は音楽や映像ソフトにおける「廃盤」と同じであり、工業製品の製造終了に関しては「廃番」と呼ばれます。しかし、これらの言葉は音の響きが似ているため、日常生活においては厳密に区別されることは少ないのが実情です。

絶版になる仕組み

一度絶版となると、新刊書店ではその書籍を購入することができなくなります。在庫が無くなった場合、特に注文しても再入荷することはありません。古書店では絶版本として取り扱われることもありますが、一般の流通からは消え去ります。

絶版となった書籍が、同じ出版社または著作権者からの許可を得た他の出版社によって復刊されることもあります。「復刊ドットコム」というサービスでは、ユーザーからのリクエストに基づき絶版書籍の復刊を求め、実際に人気のある作品が復刊された事例も多いです。さらに、紙媒体で絶版になった書籍であっても、電子書籍として再版されたり、オンデマンド出版により注文時に限って印刷・販売されるケースも増加しています。

絶版と著作権

似た状態に「品切重版未定」というものがあり、これは絶版と同様に在庫切れで重版の見込みが無いことを示しますが、著作権が維持されている点が異なります。たとえば、岩波文庫は原則として絶版が存在しないため、在庫が切れた場合は「品切重版未定」とされます。この状態でも著者や出版社が再び興味を示すことで復刊されることがあります。

出版権には「出版の義務」が課されており、契約違反により権利が失われるリスクも存在します。このため、著者や出版者は文学的な価値を保持するための努力をします。

絶版になる理由

絶版になる主な理由には次のような点があります。
1. 売上の低迷: 書籍の売上が芳しくないと判断された場合、著作者と出版社の契約に基づき出版権が放棄され、絶版となることがあります。

2. レーベル名変更: 特にマンガ作品に多いですが、レーベル名の変更やISBN番号の改訂が必要になった場合、旧版は絶版扱いとなります。

3. 出版社の倒産: 出版社が経済的に困難となり倒産した場合、その出版社が扱っていた書籍は絶版となりますが、権利が引き継がれる場合は再出版される可能性があります。

4. 著者の意向: 著者が発表した作品を改訂したいと考えた場合、元の版を絶版にして新たな改訂版を発行することがあります。

5. 内容の問題: 書籍の内容に問題が発覚した場合、出版後に絶版となることがあります。たとえば、一部の作品については出版社や著者が社会的な評価を受け、回収されるという事も経緯にのさばることもあります。

このように、絶版はさまざまな要因に起因するものであり、文化や市場に大きな影響を与えます。それに伴い、絶版書籍の復刊等も見られるため、文献の価値を再評価する場も多く存在します。プラットフォームや市場の変化により、以前は絶版された書籍が再び手に取れる機会が増えていくことに期待が寄せられています。

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