原田敬伍

原田 敬伍（はらだ けいご）氏は、1995年3月9日に生まれた、かつて競馬の舞台で活躍した元騎手です。

彼の騎手としてのキャリアは、2013年に栗東トレーニングセンターに所属する田所秀孝厩舎の一員として始まりました。同じ年にデビューした同期には、和田翼騎手（当時は岩崎姓）、城戸義政騎手、そして伴啓太騎手といった面々がいました。

プロ騎手としての第一歩を踏み出した原田氏は、比較的早い段階でその才能の片鱗を見せます。デビュー年の3月9日、自身の誕生日に中京競馬場の第2競走にニホンピロバロンを騎乗して出走し、見事に優勝を果たしました。この勝利は、彼と同時にデビューした他の騎手たちの中で、最初の勝ち星となるものでした。これは、今後の活躍を期待させるに十分な快挙でした。

また、騎手としての目標とする存在として、長く第一線で活躍するベテラン、幸英明騎手の名前を挙げていました。

しかし、彼の騎手人生は順風満帆とはいきませんでした。非常に短い期間に、プロ騎手としての厳しい規律や自己管理の難しさに直面することになります。2013年6月8日には、レース前の体重調整のためにサウナを利用した際に熱中症を発症し、その日の騎乗を取りやめ、他の騎手に交代することとなりました。この出来事に対し、日本中央競馬会（JRA）からは開催2日間の騎乗停止処分が下されました。

さらにそのわずか数週間後の2013年6月28日、彼は再び問題を起こします。レースに騎乗するため前日から指定された調整ルームに入室していたにもかかわらず、携帯電話を使ってインターネット上の交流サイト（Twitter）を閲覧し、知人との間で複数回のやり取りを行ったのです。これは競馬開催期間中の調整ルームにおける外部との通信を厳しく禁じるJRAの規定に明白に違反する行為でした。この規律違反に対し、彼は30日間という非常に長い期間の騎乗停止処分を受けることになりました。プロ騎手にとって、こうした規律の遵守は極めて重要であり、その違反は厳しい罰則を伴うことを示す事例となりました。

そして、2014年2月2日には、再び体重調整に失敗し、騎乗予定だったレースで騎手変更となる事態を招きました。これは、騎手として最も基本的な義務の一つである体重管理ができていなかったことを意味します。この体重管理違反に対しても、彼は再び30日間の騎乗停止処分を受けることとなりました。

わずか1年足らずの間に、3度も騎乗停止処分を受けるという異例の状況に陥った後、原田敬伍氏は大きな決断をします。2014年4月24日、彼はJRAに対し、自らの意思で騎手免許の取り消しを申請しました。この申請は受理され、同日をもって彼の騎手としての資格は失われることとなりました。これにより、彼の騎手人生は、デビューからわずか1年余りという非常に短い期間で幕を閉じたのです。

原田敬伍氏の騎手としてのキャリアは、同期中最速で初勝利を挙げるという輝かしいスタートを切ったものの、度重なる規律違反や自己管理の失敗により、わずか1年強で終わってしまったという特異なものでした。彼のケースは、プロフェッショナルとしての厳格な自己管理や組織のルール遵守が、騎手という職業においていかに重要であるかを改めて認識させる事例として語られることがあります。

もう一度検索