原田泉

原田泉（はらだ いずみ）は、1960年に生まれた日本の映画プロデューサー、テレビプロデューサー、そしてかき氷評論家、著述家として多岐にわたる活動を展開しています。

1991年、フジテレビのドラマシリーズ『世にも奇妙な物語』でプロデューサーとしての第一歩を踏み出しました。その後も様々なテレビドラマを手がけ、1992年に始まった『La Cuisine』シリーズでは、当時のCMやPV界から斬新な感性を持つディレクターを積極的に起用。フィルム撮影を思わせるような独特の映像美と実験的なストーリーテリングで注目を集め、ここから多くの才能が映画界へと羽ばたいていきました。このシリーズの最終作『FRIED DRAGON FISH』は、その先駆的な表現が高く評価され、『現代用語の基礎知識』でテレビドラマの一つの到達点と称賛され、1994年には劇場公開も実現しました。

1993年には映像作家の岩井俊二氏と共に映像レーベル「WATER&EYES」を設立。同年プロデュースしたテレビドラマ『if もしも～打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』は、岩井氏が日本映画監督協会新人賞を受賞するきっかけとなるなど、両者の協力関係は初期のキャリアにおいて重要な役割を果たしました。

1994年、映画『Love Letter』の製作を契機に、岩井氏と共に株式会社ロボットへ移籍。フジテレビにおいて、アニメやドラマなど幅広いジャンルのテレビ番組制作に携わりました。1995年にはホイチョイ・プロダクションズ企画の『冒険＠アナログ島・パソコンは天使か悪魔か』をプロデュース。これは、当時まだ馴染みの薄かったパソコンを「黒船」になぞらえ、その可能性をアナログな人形劇で描いたユニークな企画でした。また、1996年に企画した『金曜エンターテイメント 怖い女シリーズ』の第一弾『殴る女』は、女性の暴力性を描いたドラマとしてパイオニア的な存在となります。しかし、1998年に製作・脚本も担当した『ふたりのアリス』は、内容が当時発生した事件と酷似していたため放送中止となり、プロデューサーとして初めて「お蔵入り」を経験するという苦い出来事もありました。

プロデューサーとしての原田氏の大きな特徴の一つは、その優れたキャスティング能力にあります。特に、若手や無名の俳優を積極的に主要キャストに抜擢し、彼らの才能を開花させてきました。『FRIED DRAGON FISH』で18歳だった浅野忠信氏、『if もしも』で13歳だった奥菜恵氏、『JUVENILE』で12歳だった鈴木杏氏、『お父さんのバックドロップ』で11歳だった神木隆之介氏、『美少女H』で23歳だった木村多江氏などが、原田氏のプロデュース作品を通じて注目を集め、その後の飛躍に繋がったと言えるでしょう。子供の俳優を見出すセンスも抜群で、『美少女H2』で18歳の水川あさみ氏を起用したエピソードはギャラクシー賞を受賞しています。

2000年には再び『世にも奇妙な物語』で、脚本家・小山薫堂氏と組んだ『のぞみ、西へ』をプロデュース。この作品はストーリーテラーのタモリ氏から高い評価を受け、後にDVD化され、さらにスピンオフ企画として教養バラエティ番組『タモリのジャポニカロゴス』が生まれるなど、その影響は多岐に及びました。

2001年からはsnapに移り、ディレクター兼プロデューサーとして活動の幅を広げます。糸井重里氏と共に、ディズニーやスタジオジブリ作品のCM演出を多数手がける一方、ディズニー関連のDVDプレーヤープロジェクトに参加するなど、プロダクトプロデューサーとしても新たな分野に進出しました。2004年には中島らも氏原作の映画『お父さんのバックドロップ』をプロデュースしています。

2007年に自身のプロデュースカンパニー「WATER&SKY」を設立。企画立案から撮影、編集に至るまで、自身一人で映像制作の全工程をこなすスタイルを確立しました。

長年にわたり趣味としていた「かき氷」の食べ歩きが高じて、意外な形で新たなキャリアが開花します。SNSでの発信がぴあ編集長・大木淳夫氏の目に留まり、2015年に『にっぽん氷の図鑑』を出版。これが朝日新聞でも紹介され話題となりました。翌2016年には『一日一氷・365日のかき氷』を出版し、かき氷愛好家を指す「ゴーラー」という言葉を生み出すなど、現在ではかき氷評論家、著述家としても広く知られています。

映像プロデューサーとして数々の話題作や才能を生み出し、プロダクトプロデュースやCM・PV演出、そして異分野であるかき氷の評論・執筆活動に至るまで、原田泉氏は常に新しい表現や分野に挑戦し続ける、多彩なクリエイターです。

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