原田裕子

原田裕子：伝統と革新を織りなす木版画の魔術師

1981年生まれの原田裕子さんは、日本の版画家、木版画職人、摺師、そして木版デザイナーとして活躍するアーティストです。鹿児島県に生まれ、現在は京都府を拠点に、老舗の手摺り木版工房「竹中木版」の六代目として伝統を受け継ぎながら、現代的な感性を融合させた独自の表現方法を確立しています。京都教育大学教育学部美術科教育学科卒業後、大学在学中に竹中木版へ弟子入りし、竹中健司氏に師事。伝統的な木版画技術を習得する一方、竹笹堂のアートディレクターとして、木版画を用いたアートステーショナリーなどの作品を制作、発表しています。

木版画の技術とデザインセンスの融合

原田さんの作品は、緻密な技術と洗練されたデザインセンスの融合が特徴です。特に注目すべきは、彼女が独自に開発した「連柄」と呼ばれる連続パターンを用いた表現方法。この手法は、伝統的な木版画の技術に現代的なデザイン性を加え、斬新な視覚効果を生み出しています。彼女の手掛ける作品は、木版画ならではの繊細な表現と、現代的なデザインセンスが絶妙に調和し、見る者を魅了します。

多彩な活動の場

原田さんの活動は、木版画制作にとどまりません。光村推古書院出版の『京都手帖』の装丁や挿絵デザインを2010年から担当するなど、書籍装画の分野でも高い評価を得ています。また、テキスタイルやパッケージデザインなど、木版画の可能性を様々な分野で追求しています。2006年にはアメリカ合衆国ペンシルベニア州とマサチューセッツ州ボストン、翌年にはハワイ州でワークショップを開催するなど、国際的な活動も積極的に行っています。その才能は、数々のメディアからも注目されており、テレビやラジオ番組への出演経験も豊富です。

代表作と展覧会

原田さんの代表作として、「林檎椿」、「ざくろ」、「ピッチュ」、「ねこ」、「うさぎ」などの木版画が挙げられます。これらの作品は、繊細な描写と美しい色彩で、見る者に深い感動を与えます。また、これまでに「京都手帖2014原画展」、「くだもの展覧会」、「連柄展」、「京都の赤展」など、数々の展覧会に参加し、その作品は高い評価を得ています。フランスのギメ東洋美術館やフランス国立図書館にも作品が収蔵されており、国際的な評価も確立しています。

企業とのコラボレーション

原田さんは、企業とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。大塚製薬「カロリーメイト」、P&G「パンテーン」といった有名企業のCMデザインを手掛けたほか、山本仁商店、日本写真印刷などとのコラボレーションを通して、木版画の可能性をさらに広げています。

伝統と現代の架け橋

原田裕子さんは、伝統的な木版画技術を継承しながらも、常に新しい表現方法に挑戦し続けるアーティストです。「連柄」という独自の技法を生み出し、木版画の可能性を多角的に探求し続けています。彼女の作品は、伝統と現代の架け橋となり、多くの人々に感動と驚きを与え続けています。今後も、彼女がどのような作品を生み出し、木版画の世界をどのように発展させていくのか、目が離せません。

もう一度検索