原隆二 (ボクサー)

原 隆二（はら りゅうじ）は、1990年7月10日生まれ、静岡県伊東市出身の元プロボクサーです。プロキャリアを通じて大橋ボクシングジムに所属し、第25代日本ミニマム級王者、第16代OPBF東洋太平洋ミニマム級王者として活躍しました。

異色の経歴と輝かしいアマチュア時代

原氏は4人兄弟の末っ子として育ち、10歳の時に父親を亡くしてからは、母親が営む焼き鳥店を手伝いながら、女手一つで育てられました。中学2年で近所のジムを訪れたのがボクシングとの出会いです。その後、ボクシングの名門である飛龍高校に進学。高校1年次に喫した2敗以降は、卒業まで無敗という驚異的な強さを見せました。2年次にはインターハイと台湾でのジュニアトーナメントで優勝。そして3年次には、選抜大会、インターハイ、国体という主要大会すべてを制覇し、高校三冠という輝かしい実績を達成しました。

高校卒業後、原氏が選んだのはボクシングとは異なる道でした。大学進学を見送り、合格率が非常に低い競馬学校の騎手課程に挑戦。難関を突破し、第28期生として入学します。高卒で競馬学校に入学するのは、1993年の細江純子氏以来のことで、その異色の選択は注目を集めました。しかし、競馬学校で騎手を目指す日々の中でも、ボクシングへの情熱を断ち切ることはできませんでした。入学からわずか8ヶ月で競馬学校を中退し、プロボクサーを目指して大橋ボクシングジムに入門することを決意しました。

プロデビューから新人王獲得

アマチュア時代に4冠という実績を引っ提げ、原氏は2010年2月5日にプロデビュー。デビュー戦を1回KO勝利で飾り、鮮烈なスタートを切りました。同年には新人王戦にエントリー。準々決勝、準決勝を勝ち進み、決勝ではアマチュア時代に互いに豊富な経験を持ち、ともに無敗だった安慶名健選手と対戦。期待の集まる一戦となりました。試合は互いにダウンを奪い合う激しい展開となりますが、終盤のピンチを乗り越えた原氏がボディー攻撃で勝利を決定づけ、東日本ミニマム級新人王の座を獲得しました。

さらに、全日本新人王決定戦では、アマチュア時代にも対戦経験のある西日本新人王の伊藤秀平選手と対戦。この試合を5回TKOで制し、全日本ミニマム級新人王に輝きました。この活躍が評価され、2010年度の全日本新人王技能賞も受賞しています。

新人王獲得後も快進撃は続き、プロデビューから無傷の10連勝を達成。この連勝中には、試合当日に交通事故で負傷しながらも、その事実を隠してリングに上がりTKO勝利を収めるという、ボクサーとしての並外れた精神力と覚悟を示すエピソードもありました。

日本王座獲得と防衛

2012年10月2日、原氏は空位となっていた日本ミニマム級王座決定戦で堀川謙一選手と対戦し、判定勝利を収めて念願の日本王座を獲得しました。この試合は、後に世界王者となる井上尚弥選手のデビュー戦とのダブルメインイベントとして注目を集めました。

王座獲得後、3度の防衛戦に臨みました。初防衛戦では岩橋裕馬選手からダウンを奪われる苦しい展開となりますが、粘り強く巻き返して判定勝ち。試合後には辛勝だったことを反省の弁として口にしました。2度目の防衛戦では、全日本新人王決定戦以来となる伊藤秀平選手との再戦を制し、3度目の防衛戦では國重隆選手に序盤ダウンを許しながらも、王者の意地を見せて逆転の判定勝利を収めました。日本王座を3度防衛した後、王座を返上しました。

OPBF王座獲得と挑戦

日本王座返上後、原氏はOPBF東洋太平洋ミニマム級王座を目指します。2014年3月30日、同王座決定戦に出場予定でしたが、対戦相手の計量失敗により試合条件が変更されるアクシデントに見舞われます。しかし、難しい状況下でも試合に臨み、判定勝利でOPBF東洋太平洋王座を獲得。日本王座に続く2冠を達成しました。

OPBF王座の初防衛戦では、後に世界王者となる田中恒成選手と対戦。激闘となりましたが、プロキャリア初の敗北を喫し、王座から陥落しました。

OPBF王座陥落後、再起を果たし、2015年9月27日にはIBF世界ミニマム級王者である高山勝成選手に挑戦する機会を得ました。しかし、世界王座獲得はならず、この試合がプロボクサーとしての最終戦となりました。

戦績

アマチュア時代は38戦36勝（16KO・RSC）2敗という素晴らしい戦績を残しました。プロキャリアでは25戦23勝（14KO）2敗の戦績を残し、日本のミニマム級トップ戦線で長らく活躍しました。高校三冠、全日本新人王、日本王座3度防衛、OPBF王座獲得など、輝かしい足跡をボクシング界に残しています。

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