厲公 (鄭)

厲公の生涯

厲公（れいこう、紀元前?年 - 紀元前673年）は、鄭の5代目および9代目の君主であり、荘公の三男で昭公の弟として生まれました。彼はまた、子元とも称され、歴史の中で特に波乱に満ちた時代を生き抜いた君主です。

昭公との関係と初期の政治状況

厲公は、父である荘公が亡くなった後、鄭君のポジションを巡って異母兄弟との争いに巻き込まれました。荘公の43年目である紀元前701年5月に荘公が亡くなり、太子忽が昭公として即位しました。この際、厲公の異母弟である突は、母が宋の外様貴族の出身であったため、宋と非常に親密な関係にありました。

その後、宋の荘公は昭公が鄭君となったことに不満を抱き、祭仲と公子突を捕え、突を鄭君に立てるよう要求。その結果、昭公は鄭を出て衛に亡命せざるを得なくなりました。これは厲公政権を巡る緊迫した状況の始まりを象徴しています。

仲間とともに戦う厲公

厲公は紀元前700年11月、魯の桓公と会談を行い、武父で盟を結びました。この盟約に基づき、翌紀元前699年2月には、宋の荘公から常に高い賄賂を要求され、魯・紀と共に対抗すべく斉・宋・衛・燕の連合軍と戦いました。この戦いに勝利したことは、彼の軍事的才能を示す出来事でした。

その後、厲公は弟の語（子人）を魯へ派遣し、さらなる連携を図りますが、物事は平穏には進みませんでした。紀元前698年12月には、報復を狙った宋の連合軍が鄭を攻撃し、重要な拠点を奪われてしまいます。厲公はこの危機にどう立ち向かうかが試されることになりました。

政治的陰謀と戦争

厲公の4年目である紀元前697年、政権を握っていた祭仲に対し、厲公は危機感を募らせるようになります。密かに祭仲の娘婿である雍糾に祭仲を暗殺させる計画を立てますが、この試みは失敗し、雍糾が命を落とす結果となりました。その後、厲公自身は鄭を離れ、昭公が祭仲によって復権を果たした後も、鄭の情勢は安定しませんでした。

さらに、厲公は紀元前680年夏に帰還し、新たな軍を編成して鄭に攻撃を仕掛けるものの、再び複雑な政治情勢の中で彼の君主としての座を確保するために様々な困難と直面しました。権力闘争は続き、多くの裏切りや陰謀が渦巻く中、厲公は数々の人々を犠牲にしながら権力を再掌握します。

最期と後継者

厲公の最期は紀元前673年春に訪れます。周の恵王からの支援要請を受けて出兵するも思うような結果は得られず、その年の5月に亡くなりました。その後、子の踕（しょう）が鄭君として即位し、新たな時代を迎えます。

彼の治世は、当時の他国との戦闘や、内部での政権争いで一貫して不安定でした。厲公の波乱の生涯は、満ちあふれる権力を維持することの難しさを物語っています。

もう一度検索