厳島 (防護巡洋艦)

厳島（いつくしま）

厳島は、日本海軍に属していた海防艦、または防護巡洋艦です。艦名は、広島県に位置する名所、厳島神社に由来します。この神社は、日本三景の一つとして名高く、美しい風景が広がっています。また、厳島の姉妹艦には松島と橋立があります。

概要

厳島は、日清戦争と日露戦争の両方に参加しました。特に日露戦争では、第三艦隊の旗艦として活躍し、日本海海戦においてバルチック艦隊の発見を受けて迅速に行動しました。艦は、艦隊に正確な情報を通報し、海戦の成功に寄与したことが評価されています。厳島は松島型の艦として知られていますが、実際には松島よりも早く起工・竣工されたため、厳島型と呼ばれることもあります。

艦型

厳島の建造に関しては、松島の詳細を参考にすることができます。主砲にはカネー社製の32cm（38口径）単装砲が装備されていますが、松島とは異なり、前部甲板に配置されています。このため、艦の形状は整然として見えます。また、副砲などの武装についても若干の違いがあります。

艦歴

厳島は1888年にフランスの地中海鉄工造船所で起工され、翌1889年に進水、1891年9月には竣工しました。最初は第一種艦隊に編入され、1892年には横須賀港に到着し、警備艦に指定されました。その後、1893年には常備艦隊に編入され、1894年には日清戦争に参加します。戦争中、黄海海戦などで活動し、1895年には清国降伏に貢献しました。

日清戦争後の1898年に二等巡洋艦に類別され、1900年には北清事変に際して上海の警備を行いました。1901年には、呉造船廠でボイラーの改装を行い、遠洋航海にも従事しました。これらの活動を通じて、艦の運用に関する経験を積みました。

そして1904年の日露戦争では、第三艦隊旗艦として参加し、旅順の封鎖に関与しましたが、黄海海戦の前日には損傷を受けてしまったため、その海戦には参加できませんでした。1905年には再び旗艦として日本海海戦に臨みました。

1912年には、厳島は遭難した浪速艦を助けるために出港しました。1912年8月28日には二等海防艦に類別変更されましたが、その後、1919年には除籍され、潜水艇母船に改称されて厳島丸になりました。1920年には再度の改造が行われ、学校用の船舶として利用されることになりました。

最終的に、厳島は1924年に倉庫として使用された後、老朽化が進み、1925年には廃船として認可され、解体される運命を迎えました。

艦長

艦長には、磯辺包義大佐が最初に就任し、その後も多くの艦長が就任しました。艦の歴史を通じて、様々な指揮官のもとで多くの航海を重ねていきました。艦の運命を共にした艦長たちの貢献は、厳島の数々の歴史的な出来事に影響を与えています。

参考文献

• - 浅井将秀 編『日本海軍艦船名考』東京水交社、1928年。
• - 泉江三『軍艦メカニズム図鑑 日本の戦艦 上』グランプリ出版、2001年。
• - 海軍省/編『海軍制度沿革 巻十の1』 明治百年史叢書 第182巻、原書房、1972年。
• - 海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第9巻、第10巻、第一法規出版、1995年。

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