水交社

水交社：日本海軍将校の親睦・研究団体

水交社（すいこうしゃ）は、1876年（明治9年）に海軍省の外郭団体として設立された、日本海軍将校のための親睦・研究団体です。その名称は、『荘子』の言葉「君子之交淡若水（君子の交わりは淡きこと水の如し）」に由来します。総裁は海軍将官の皇族が務め、社長は現任の海軍大臣が兼務していました。

概要

水交社は、海軍士官専用の旅館や喫茶店などを経営し、会員および施設の利用は、海軍士官、高等文官、士官候補生といった海軍幹部関係者に限定されていました。太平洋戦争（大東亜戦争）終戦とともに海軍省と共に消滅しましたが、1952年（昭和27年）に財団法人水交会として復興しました。

機関紙として「水交社記事」を発行し、水交会編による『回想の日本海軍』（原書房、1985年）も出版されています。

旧外地の台湾台南市汐見町には、かつて水交社の建築物があり（後に眷村となる）、戦後「水交社」が汐見町の代わりに使用される地名となりました。

所在地

明治時代には築地に位置していました。現在の中央区築地5丁目6番付近には、海軍大学校、医学校、経理学校なども置かれていました。

移転後は、水交社が消滅するまで東京都港区飯倉町（現在の港区麻布台2丁目のメソニック38、39MTビルあたり）に本部を構え、紅葉館の敷地と隣接していました。

水交社本部ビル

山本五十六の葬儀は、麻布飯倉町の水交社で行われました。1943年（昭和18年）6月に行われた山本五十六元帥の国葬の列は、麻布飯倉町2丁目交差点近くの「水交社本部ビル」から出発しました。

敗戦後、水交社解散後に空襲を免れて残った「水交社本部ビル」は、米軍に接収され、米軍関係者のサロンや宿舎として使用されました。その後、米軍は日本政府に「旧日本海軍の水交社を返還する」と通告しましたが、実際には返還されず、占領軍のフリーメイソンによって占拠され、入り口には「メソニック・ビル」の表示が掲げられました。

1949年（昭和24年）に接収が解除された後、1950年（昭和25年）6月には、国（占領下の日本政府の大蔵省）から、土地、建物とも、最低価格の8千万円で「宗教法人東京メソニックロッジ協会」（現在の一般財団法人メイスン財団）に優先的に払い下げられ、8月には所有権取得登記が行われました。屋上にはコンパスと直角定規のシンボルマークが掲げられた時期もありました。

「メソニック・ビル」には、日本のフリーメイソンの中核となる「日本グランド・ロッジ」（1957年（昭和37年）3月設立）が入居していました。現在の黒くて低層の「東京メソニックビル」（東京メソニックセンター）は1981年（昭和56年）に建て替えられたもので、一室には水交社時代の応接室が再現されています。

現在の「東京メソニックビル」内には、「日本グランドロッジ」をはじめ、複数のブルーロッジ、リサーチ・ロッジ、アメリカ管轄のロッジの事務所が置かれ、秘書業務や財務業務が行われています。また、「ヨーク・ライト」や「スコティッシュ・ライト」といった付帯組織も事務所を構えています。

水交会の訴訟

1952年（昭和27年）に結成された水交社後身のOB団体「水交会」は、「国際法違反である」として資産取り戻し訴訟を起こし、建物の返還を要求しました。10年以上にわたる民事裁判の結果、1966年（昭和41年）にフリーメイソン側が1000万円を支払うことで和解が成立し、水交社の跡地はフリーメイソンの所有となりました。

関連項目

有栖川宮威仁親王 - 総裁
偕行社 - 陸軍の同様の組織
* 海軍反省会

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