厳島神社大鳥居

厳島神社大鳥居について

厳島神社大鳥居は、広島県廿日市市の厳島（宮島）にある厳島神社の象徴とも言える建造物であり、世界遺産「厳島神社」の構成要素の一つとして重要な文化財です。通称「朱丹の大鳥居」とも称されますが、その歴史は平安時代に遡ると言われ、特に平清盛の大修築によって海上社殿としての姿が確立されたとされています。

構造と特長

大鳥居は、厳島神社の本社から北西側に約196.4メートルの距離の海中に自立しており、その姿は潮の満ち引きによって全く異なる風景を見せます。満潮時にはまるで海に浮かんでいるかのように見え、干潮時にはその根元まで歩いて行くことができます。宮島観光協会によれば、潮位が100センチ以下になると、根元までアクセスできるとされています。

この鳥居は「両部鳥居」と呼ばれる構造を持ち、主柱と袖柱が計6本の足で支えられています。また、全体が朱色に塗られており、なかでも木口は黄土色で仕上げられています。大鳥居の高さは約16.6メートル、重量は約60トンという圧倒的なスケールを誇ります。全体の造りには、クスノキの自然木が使われ、その基礎には空に木杭が打ち込まれています。

歴史的背景

厳島神社の起源は593年に遡るとされ、鳥居もその創建時から存在した可能性があります。しかし、現代の大鳥居の起源は1168年に平清盛の援助によって再建された段階にさかのぼります。大鳥居はその後も数回の再建を経て、現在の形状になりました。1875年に再建された現行の大鳥居は、台風や高潮による破損を免れず、何度も補修が行われてきました。

最近では2019年から行われた大規模な修繕工事に伴い、予想以上のシロアリ被害が発覚し、その修復が進められました。この工事は2022年12月に完了しています。

文化財としての重要性

厳島神社大鳥居は、明治32年（1899年）には国の重要文化財に指定され、さらにはその附属品としての棟札や後奈良天皇の宸翰が追加で指定されています。大鳥居は、日本三大木造鳥居の一つとして位置付けられ、他に奈良の春日大社や敦賀の氣比神宮とともに名を馳せています。その美しさと規模から、多くの観光客が訪れ、日本の文化と歴史を体感する場になっています。

観光とアクセス

大鳥居は、潮の干満によって異なる表情を見せるため、訪れるたびに新たな魅力を発見することができます。観光客は、船を使った遊覧やシーカヤックといったアクティビティを通じて、厳島神社や大鳥居の美しさを楽しむことができます。また、潮位によっては大鳥居の根元まで近づけるため、その迫力を直に感じることも可能です。

このように、厳島神社大鳥居はただの観光名所にとどまらず、古き良き日本の歴史と文化の深さ、市民の誇りを感じさせる存在です。訪れる人々にとって、記憶に残る特別な体験を提供し続けています。

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