参加型学習

参加型学習とは

参加型学習は、従来の講義形式のような一方的な知識伝達ではなく、学習者自身が学習プロセスに積極的に関与することを重視する学習形態です。この学習方法では、知識の習得だけでなく、体験を通じて学ぶことを重視するため、「参加体験型学習」と呼ばれることもあります。

社会参加を目指す学習

開発教育の分野では、参加型学習は単に授業内での学習者の参加を促すだけでなく、学習者の社会参加を促すための学習方法として捉えられています。この視点では、学習者は社会の課題に気づき、理解し、その解決に向けて積極的に行動するための態度やスキルを養うことが目標とされます。

総合学習における参加型学習

総合学習は、教師が教科や領域を越えて行う自主的な教育実践を指します。この概念は19世紀末の欧米における新教育運動に端を発し、日本でも明治後期から試みられてきました。特に大正自由教育期や戦後の教育改革期には、教科の枠を超えた教育活動が活発に行われました。

2002年の学習指導要領改訂により導入された「総合的な学習の時間」は、「生きる力」の育成を目標とし、各学校が創意工夫を凝らし、従来の教科の枠を超えた学習を行う時間です。ここでは、地域や学校の特色を活かした学習や、国際理解、情報、環境、福祉・健康といったテーマが扱われます。教科書は使用せず、数値による評価は行われない点も特徴です。

総合的な学習の時間では、参加体験型の学習が重視され、自然体験、ボランティア活動、観察・実験、見学、調査、発表、討論、ものづくりなどの活動が推奨されています。

ワークショップという参加型学習

ワークショップは、参加者が知識やアイデアを共有し、新たな発見や学びを得る参加型の学習形態です。一方的な知識伝達ではなく、包括的で全体的な学びを重視し、体験を通じて学習することを特徴とします。ワークショップは、パウロ・フレイレの識字教育、演劇、エンカウンター・グループなどに起源を持ち、現在では開発教育、環境教育、まちづくり、芸術、心理学、企業研修など幅広い分野で活用されています。よく用いられる手法としては、ロールプレイ、ディベート、シミュレーション、ランキングなどがあります。

ワークショップの進行役はファシリテーターと呼ばれ、参加者同士が知識や経験を共有し、議論を深めることで新たな気づきや学びが生まれるよう環境を整えます。

開発における参加型学習

開発途上国における開発プロジェクトでは、参加型開発の進展とともに、PRA（参加型農村調査法）やPLA（参加型学習行動法）と呼ばれる手法が用いられています。

PRAは、農村調査を基に、住民自身の参加を重視した調査手法として発展しました。ロバート・チェンバースはPRAを、「地域住民が自らの生活の知識や状況を共有し、分析し、計画し、行動し、評価することを可能にするアプローチ」と定義しています。

PLAは、農村調査だけでなく、住民自身が課題を発見し、解決するまでの一連のアプローチを指します。PRAとPLAは内容がほぼ同じであるため、同義で使用されることもあります。具体的な手法としては、地図作成、年表作成、季節カレンダー作成、社会関係図作成、ランキングなどがありますが、これらは固定されたものではなく、現場の状況に応じて柔軟に開発・応用されています。

参加型学習は、一方的な知識の伝達ではなく、学習者自身が積極的に参加し、体験を通じて学び、社会への関心を高めることを目指す、現代の教育において重要な役割を果たす学習方法です。

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