友ヶ島

友ヶ島：歴史と自然が織りなす秘境の島々

和歌山県和歌山市沖の紀淡海峡に浮かぶ友ヶ島は、地ノ島、神島、沖ノ島、虎島からなる無人島群です。瀬戸内海国立公園に属し、大阪湾と紀伊水道をつなぐ要衝として、古くから重要な役割を担ってきました。本稿では、その歴史、地理、自然環境、そして近年の動向について詳細に解説します。

独自の地理的条件

友ヶ島は、紀淡海峡をほぼ塞ぐように位置し、東は紀伊半島、西は淡路島とを結ぶ航路の要所です。地ノ島と沖ノ島によって海峡は三つの水路に区分され、特に由良瀬戸は古くから重要な航路として栄えてきました。明治初期に建設された沖ノ島の灯台は、歴史的にも貴重な建造物です。また、2002年の世界測地系採用以前から、友ヶ島灯台の周辺には、日本標準時子午線（東経135度線）を示す標識が設置されており、2007年にはその記念イベントも開催されました。沖ノ島のコウノ巣山展望台付近には、明治18年に設置された一等三角点「友ケ島」も存在します。

神島と虎島

沖ノ島の北方に位置する神島には、少彦名命を祀る神社（淡嶋神社）の旧社があったと伝えられています。加太にある淡嶋神社は、神島を起源とすると言われています。一方、沖ノ島の北東部に連なる虎島は、陸繋島ですが、堤防の崩落により、現在は陸路からのアクセスは困難です。江戸時代には、紀州藩の蘭学者、李梅渓が虎島に葛城修験道の「五所の額」を刻んだとされており、現在もその跡が残っています。現在でも、修験道の行者によって、険しい崖を登り降りする厳しい修行が行われています。

軍事施設としての歴史

明治時代以降、友ヶ島は、大日本帝国陸軍によって要塞として整備されました。外国艦隊の大阪湾への侵入を防ぐため、沖ノ島と虎島に複数の砲台や施設が建設され、第二次世界大戦終戦まで一般人の立ち入りは禁止されていました。そのため、戦前の地図には白塗りで表示されていませんでした。島内の遊歩道の幅が広いのは、軍用道路の名残です。終戦時に爆破処分された第2砲台を除き、砲台跡などの軍事施設は現在も良好な状態で残っており、第3砲台は映画やドラマのロケ地として利用されています。2003年には、土木学会選奨土木遺産にも選定されました。

戦後の観光開発と現状

戦後、友ヶ島は瀬戸内海国立公園に指定されました。南海電鉄グループによる観光開発が行われ、加太港と沖ノ島を結ぶ航路が開設、キャンプ場なども整備され、夏季を中心に多くの観光客が訪れていました。しかし、2000年頃には観光客数が減少、南海電鉄は2002年に観光事業から撤退しました。その後、航路は友ヶ島汽船株式会社が引き継いでいますが、観光客の数は依然として少ないのが現状です。

島内の自然と環境

沖ノ島には、かつて観光用に放たれた鹿が生息しており、現在は野生化しつつあります。また、蛇やマムシの駆除用に孔雀も放たれたと言われています。島内には、水を一切使用しないバイアニクストイレが設置され、環境保全に配慮されています。キャンプ場も存在しますが、直火の使用は禁止されています。島内の井戸水は飲料水として利用できません。電力供給は、関西国際空港開港に伴い、海底ケーブルを通じて加太地区から供給されています。

交通アクセスと今後の計画

友ヶ島へのアクセスは、加太港から友ヶ島汽船株式会社の船を利用します。航海時間は約15～20分ですが、ハイシーズンには乗船制限がある場合があります。加太港へは、南海加太線加太駅下車、徒歩約800mまたはデマンド型乗合タクシーを利用できます。将来的には、地ノ島と沖ノ島を結ぶ紀淡連絡道路の計画がありますが、実現すれば景観への影響が懸念されています。

友ヶ島を舞台にした作品

友ヶ島の独特な景観と歴史は、数多くの作品に影響を与えてきました。テレビ番組、映画、小説、ゲームなど、様々なメディアで友ヶ島が舞台として取り上げられています。その一部を挙げると、「ザ!鉄腕!DASH!!」、「野獣（クーガ）の城 女囚1316」、「SIREN2」、「彼岸島」、「サマータイムレンダ」などがあります。

まとめ

友ヶ島は、歴史と自然が融合した独特の魅力を持つ島です。軍事施設跡や豊かな自然、そしてアクセス方法などを理解することで、より深く友ヶ島を楽しむことができるでしょう。今後も、その歴史と自然を大切に残し、多くの観光客に魅力的な場所として提供し続けることが期待されます。

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