双京構想

双京構想（そうきょうこうそう）

双京構想とは、日本の古都である京都を文化的な首都と位置づけ、皇室に関連する一部の行事や公務を、従来の東京だけでなく京都でも実施することを提唱する構想です。

構想の提唱と背景

この構想は、2010年に設立された「京都の未来を考える懇話会」がまとめた第一次提案の一部として、東日本大震災の翌年である2012年に発表されました。提唱の背景には、大規模災害時における首都圏へのリスク集中を回避し、皇族方が京都に滞在して公務を執り行うことで、皇室にとってより安全かつ分散された環境を確保することなどが挙げられます。京都でこれらの機能の一部を担う理由としては、かつて御所が置かれ、千年以上もの長きにわたり皇室と深い関わりを持ってきた京都の歴史的背景と伝統文化の中心地であるという特性が重要視されています。

推進状況と具体的な検討内容

構想の実現に向け、京都府や京都市では、学識経験者や関係者からの意見聴取を重ね、政府への働きかけや提言が行われています。2015年には、構想を具体的に推進するための「双京構想推進検討会議」が設置されました。

具体的な活動内容の検討としては、皇族方がご出席・ご臨席になる国際会議を京都に誘致することや、明治期以降途絶えている伝統的な宮中行事である節会（ごせちえ、五節句など）を京都で再開すること、あるいは園遊会や歌会始といった国民的な行事を京都でも開催するなど、皇族方の京都での活動機会を増やす様々な方策が検討されています。

京都の未来を考える懇話会が示した構想実現に向けた方針の中では、京都迎賓館の存在も踏まえ、京都で行うことが考えられる公務の例が具体的に示されています。

国賓の接遇
園遊会
叙勲
歌会始
講書始
節会

これらの公務を京都でも行うことで、年間を通じて皇族方が京都に滞在する機会を創出し、京都の文化・伝統の発信や地域経済の活性化にも繋げることが期待されています。

関連する動き

双京構想に類する考え方として、2005年頃からは、大規模災害などを想定した首都機能のバックアップを目的に、京都御所などを皇室関連の代替施設として活用する構想も存在します。また、広域連携を進める関西広域連合も、将来的な皇族方の京都への常住を提唱したことがあります。

皇室関連ではありませんが、国の重要な機能の一部を地方へ移転するという事例としては、2023年3月に文化庁が京都市へ移転したことが挙げられ、分散化に向けた国の動きの一端を示すものと言えます。

双京構想は、東京一極集中リスクの分散という側面と、日本の歴史・文化の中心である京都の価値を再認識し、皇室との関わりを深めるという側面の双方を併せ持った提案として、今後の進展が注目されています。

もう一度検索