御所

御所（ごしょ）についての知識

御所とは、主に天皇や高位の貴人が居住する邸宅のことで、歴史上はその人自体や称号を指すこともあります。現代においてもその名称は多くの場所に残されています。

御所の定義

邸宅としての御所は、国のトップである天皇やその後継者など特に高い地位を占める人々の住まいを意味します。公式には「在位中の天皇の平常時の住居」を指し、天皇が住む場所は「皇宮」と呼ばれ、その中でも城や都にあったものは「宮城」と称されていたことがあります。江戸城跡にあたる宮城は、戦後「皇居」とリブランドされ、現在の御所としての役割を担っています。

また、太上天皇や上皇、退位した天皇については「仙洞御所」と称され、皇太后や先代の天皇の配偶者は「大宮御所」、皇太子は「東宮御所」と区別されることが一般的です。御所という呼称は、現在でも皇室に関連する施設に多く使用されるほか、武家の棟梁の邸宅にも使用されていました。

御所号の付与

御所は単なる邸宅名だけでなく、特定の地位を有する人々に与えられる称号（御所号）としても機能します。これに該当するのは皇族や大臣、将軍、その子孫や関係者などです。特に公卿の子弟には「御室御所」といった敬称も用いられました。歴史的には、親王や隠居した御所も「大御所」と呼ばれることがあり、これは特に武家の支配が強まってから顕在化しました。

現在の御所

現在の御所は、皇居の吹上御苑内に位置し、天皇徳仁と皇后雅子、および愛子内親王の居住空間です。正式には「御所」と呼ばれ、旧名称の「吹上仙洞御所」と区別して「新御所」とも通称されています。この邸宅は、1991年に着工し、1993年に完成しました。設計は日本建築の精神を尊重しつつ、現代性を求めたデザインです。346億円の建築費をかけたこの場所は、天皇一家の新居として設計されました。

建物は地下1階、地上2階から成り、接遇部分や私室部分、事務部分に分かれています。接遇部分では国内外の要人を迎えることが可能で、小広間や広間、御進講室などが設けられています。特に、広間では公式行事における立食パーティーも行われます。私室部分には、居住空間としての寝室や書斎、研究室などが揃い、事務部分も合わせて多種多様な部屋が設けられています。

御所の設計と機能

新御所は630㎡の接遇部分、970㎡の私室部分、1480㎡の事務部分から成り、全体の延床面積は5290㎡に達します。各エリアは中庭に面しており、自然の光を取り入れた設計がなされています。御車寄は重要な入口となり、そこでの初めての接遇が行われます。

近年では、老朽化した給排水管や電気設備の改修工事が行われ、快適な住環境を提供していますが、部屋の配置は元の設計が踏襲されています。

歴史的な御所

歴史的な観点からも、さまざまな時代の御所が存在しており、例えば京都御所は北朝から明治時代まで多くの天皇が居住した場所です。また、他の多くの地域にも武家や宗教関係者のための御所があり、歴史的な価値とその存在意義は極めて重要です。

このように、御所は日本の歴史と文化に深く根ざした存在であり、その役割は時代と共に変化しながらも、今なお重要な意味を持ち続けています。

もう一度検索