反共法

反共法について

反共法（はんきょうほう）は、かつて韓国に存在した治安立法の一つで、1961年7月3日に制定されました。この法律は、特に共産主義に対抗することを目的としており、その名の通り、反共的な規制を強化するものとなりました。反共法は後に国家保安法と統合され、1980年12月31日には完全に廃止されることとなります。

制定の背景

反共法の制定は、1961年の5・16軍事クーデターの後に行われました。このクーデターにより、全斗煥氏が権力を握り、それに伴う国内の政治的緊張と不安定さが高まっていました。このような時期に、政府は国民の不満を和らげるために「悪法」とされていた国家保安法を見直し、新たに反共法を設けることで、表向きの法制度を刷新しようとしました。

ところが、反共法の適用範囲が極めて広かったため、かえって政府への批判が集まり、政治犯罪として摘発される事例が増加する結果となりました。1961年から1980年の間には、数度にわたってこの法の一部改正や適用が見直されましたが、国民の自由を規制する内容が変わることはありませんでした。

法律の内容

この法律は、制定当初、全11条と付則から構成されていました。主要な条文では、共産主義団体への加入やその勧誘、さらには共産主義の思想を讃えたり、支援を行った場合に厳しい罰則が規定されていました。具体的には、次のような内容が含まれていました。

• - 第1条（目的）: 反共法の目的を明示。
• - 第2条（定義）: 共産主義に対する具体的な定義。
• - 第3条（加入、加入勧誘）: 共産主義団体への加入の禁止。
• - 第4条（讃揚、鼓舞など）: 共産主義を賛美する行為の禁止。
• - 第5条（会合、通信など）: 共産主義者との会合や通信を規制。
• - 第6条（脱出、潜入）: 共産主義国への脱出や潜入を防ぐ規定。
• - 第7条（便宜提供）: 共産主義者に便宜を図る行為の罰則。
• - 第8条（不告知罪）: 反共法違反を知っても密告しなかった場合の罪。
• - 第9条（法適用の排除）: 特定の場合に法の適用を除外。
• - 第10条（賞金など）: 法に違反した場合の罰金や賞金に関する規定。
• - 第11条（準用規定）: 別の法律の準用に関する条項。

違反事件の例

反共法に基づく違反事件の中で著名なものがいくつかあります。1965年には、小説家の南廷賢が発表した小説「糞地」が反共法違反として問題視され、摘発されました。また、「五賊筆禍事件」という事件も記録されており、これらの事例は反共法の厳しさと、その影響を示しています。

最終的に、1980年の全斗煥政権下で反共法は国家保安法に統合され、その結果として完全に廃止されました。これにより、韓国における反共的な法制度は一旦その幕を下ろし、その後の政治的な動きにおいても、国民の表現や思想の自由がより進展することが期待されたのです。

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