反則王

映画『反則王』の魅力

『反則王』（はんそくおう、原題：반칙왕）は、1999年に韓国で制作されたコメディ映画で、2000年に韓国、2001年には日本で公開されました。監督はキム・ジウンが手がけ、主演にはソン・ガンホが名を連ねています。この作品は、独身サラリーマンの奮闘と成長を笑いと感動を交えて描いたものです。

概要

本作は『クワイエット・ファミリー』に続くキム・ジウン監督の第2作目です。物語は、1960～70年代の韓国におけるプロレス黄金期へのオマージュとして、主人公がプロレスラーとしてデビューし、自己を変革していく姿を描いています。日本公開時には、「昼はダメダメ銀行マン、夜は覆面プロレスラー」というキャッチコピーが話題を呼びました。このコメントは主人公の二重生活を象徴し、さらに「自分の生き方が劇的に変わることなんて、そうない。「人生のヘッドロック．．．」貴方は解けますか？」という言葉は、観客への問いかけとなるユーモアを交えています。

ストーリー

物語の中心となるのは、銀行員のイム・デホ（ソン・ガンホ）です。彼は夢と現実の狭間で苦しむ独身男性で、遅刻常習や成績不振から上司に叱責される日々を送っています。上司はプロレス技のヘッドロックを使い、心の負担となっていたデホは、そんな日々から逃れるために自分を変えたいと願っています。

彼はジムに通うものの、初めはプロレスに対する知識も体力もないため、初心者として拒否されます。しかし、かつてのプロレスファンであった彼は、ウルトラ・タイガーマスクの写真に感動し、再度挑戦することに決めます。ジムの館長は、反則レスラーが必要だとのプロモーターからの要請を受けて、彼を反則専門のレスラーに育て上げることにしました。

デホはお笑いレスラーとしてデビューし、次第に本気でトレーニングに取り組むようになり、成長していきます。彼の努力と成長を通じて、観客は笑いと感動の物語を体験します。

キャストとスタッフ

この映画の制作には、プロデューサーのイ・ミヨンや、脚本を担当したキム・ジウンのほか、撮影を行ったホン・ギョンピョ、照明を担当したチョン・ヨンミン、美術を担当したファン・インジュンといったスタッフが携わっています。また、当時人気のタレントダンカンも観客役として出演していますが、劇場公開版ではそのシーンがカットされています。

エピソード

興味深い事実として、作品冒頭にはプロレス中継映像が挿入されており、キム・イル（大木金太郎）の試合がフィーチャーされています。劇中でもキム・イルの名前が取り上げられ、プロレスファンには嬉しい仕掛けとなっています。

また、主人公は実在の元プロレスラー、ペク・ジョンホをモデルにしており、彼は実際に韓一銀行（現在のウリィ銀行）に勤めていました。ペクはキム・イルに弟子入りしプロレスデビューを果たした後も、銀行とプロレスの両立を続け、2004年に引退試合を行った経歴を持っています。

まとめ

『反則王』は、単なるコメディにとどまらず、自己の成長や挑戦の素晴らしさを教えてくれる作品です。笑いの中に描かれる人間ドラマや、感動的な瞬間が大いに楽しめるこの映画は、見る人々に深い印象を残すでしょう。

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