反復配列

反復配列とは

反復配列とは、生物のゲノムDNAにおいて、特定の塩基配列が繰り返し出現する領域のことです。特に真核生物において多く見られ、その機能については未解明な点も多いものの、遺伝子の発現調節や進化において重要な役割を果たしていると考えられています。

反復配列の種類

反復配列は、大きく分けて以下の2種類に分類されます。

1. 縦列反復配列（タンデムリピート）

同じ配列が隣り合って連続して繰り返されるものです。タンデムリピートは、さらに以下の種類に分けられます。

サテライトDNA: 染色体の特定領域（動原体など）に多く存在し、密度が異なることから発見されました。
ミニサテライト: 10〜100塩基対程度の比較的短い配列が繰り返されます。個体間で反復回数が異なるため、DNA型鑑定に利用されます。
マイクロサテライト: 数塩基対の非常に短い配列が繰り返されます。染色体全体に広く分布し、ミニサテライトと同様にDNA型鑑定に用いられます。

2. 散在反復配列

ゲノム中に散在して存在する反復配列です。レトロトランスポゾンに由来すると考えられており、長さによってLINEとSINEに分けられます。

LINE (Long INterspersed Elements): 比較的長い配列で、タンパク質をコードする遺伝子に類似した配列を含みます（偽[[遺伝子]]）。
SINE (Short INterspersed Elements): 比較的短い配列で、Alu配列などが代表的です。

その他の反復配列

テロメアDNA: 染色体の末端に存在する特殊な反復配列で、染色体の安定性を保つ役割があります。
トランスポゾン両端の反復配列: トランスポゾンという動く遺伝子の両端に存在する反復配列です。
CRISPR: 真正細菌と古細菌が持つ反復配列で、ウイルス感染やプラスミド侵入を防御する機能を持つと考えられています。

反復配列の機能

反復配列の機能は、未だ完全には解明されていません。かつては「ジャンクDNA」と呼ばれ、ゲノムの中で特に役割を持たないと考えられていましたが、近年では以下のような機能を持つ可能性が示唆されています。

遺伝子発現の調節: 特定の反復配列が、遺伝子の発現を促進または抑制する可能性があります。
染色体の構造維持: サテライトDNAなど、染色体の特定領域に存在する反復配列は、染色体の構造を維持する役割を担っていると考えられています。
遺伝的組換えの促進: 反復配列は、遺伝的組換えが起こりやすい領域であると考えられています。これにより、遺伝的多様性が生み出され、進化に貢献する可能性があります。
ウイルスの感染防御: 真正細菌や古細菌に見られるCRISPRは、ウイルスの遺伝子を認識し、RNAiと類似したメカニズムでウイルスの増殖を防ぎます。

まとめ

反復配列は、ゲノムの中で繰り返される配列であり、その種類や機能は多岐にわたります。未解明な点も多いですが、遺伝子発現調節、染色体構造の維持、遺伝的組換え、ウイルスの感染防御など、生命現象において重要な役割を果たしていると考えられています。今後の研究によって、反復配列のさらなる機能解明が期待されます。

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