サテライトDNA

サテライトDNAは、ゲノム中に存在する反復配列DNAの一種であり、特に巨大なタンデムリピート（同じ塩基配列の繰り返し）によって構成されています。これはタンパク質をコードしないノンコーディングDNAであり、セントロメア（染色体の中央部分）の機能において重要な役割を果たしています。また、ヘテロクロマチンという、染色体の構造を維持する上で重要な領域の主要な構成要素でもあります。

サテライトDNAという名前の由来は、その特徴的な検出方法にあります。密度勾配遠心という技術を用いると、ゲノムDNAとは別に、小さなバンドが観察されることがあります。この現象は、サテライトDNAが短い塩基配列の繰り返し構造を持つために、アデニン（A）、シトシン（C）、グアニン（G）、チミン（T）といった各塩基の構成比率が、ゲノム全体の配列とは異なっていることに起因します。この塩基組成の違いが密度差を生み出し、主となるゲノムDNAのバンドとは別に、2本目以降の小さなバンド（サテライト）として分離されるのです。

サテライトDNAは、ミニサテライトやマイクロサテライトといった他の反復配列と共に、タンデムリピートの一種として分類されます。これらの反復配列は、ゲノムの多様性や進化において重要な役割を果たすと考えられています。

ヒトゲノム中には、様々な種類のサテライトDNAが存在することが知られています。これらのサテライトDNAは、それぞれ異なる塩基配列の繰り返しパターンを持ち、染色体上の特定の領域に局在していると考えられています。具体的なサテライトDNAの種類や機能については、現在も研究が進められています。

参考文献

Beridze, Thengiz (1986). Satellite DNA. Springer-Verlag. ISBN 978-0-387-15876-1
Hoy, Marjorie A. (2003). Insect molecular genetics: an introduction to principles and applications. Academic Press. p. 53. [ISBN]] 978-0-12-357031-4. [https://archive.org/details/insectmolecularg0000hoym_f5j0

関連項目

ポリメラーゼ連鎖反応（PCR）
遺伝子発現

外部リンク

* Satellite DNA - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス（英語）

もう一度検索