反跳爆弾

反跳爆弾とは

反跳爆弾は、航空機から投下され水面を跳ねるように進む爆弾です。これは、爆弾が水面を跳ねることで射程を伸ばし、目標への命中率を高めることを目的としています。特に、水中の目標に対しては、魚雷防御網を飛び越えて攻撃できるという利点があります。

反跳爆弾の概要

反跳爆弾は、第二次世界大戦中にイギリスのバーンズ・ウォリス博士によって考案されました。この爆弾は、水切りと同様の原理で水面を跳ねることで、通常の爆弾よりも遠くまで到達し、かつ魚雷防御網を回避して水中で爆発させることが可能でした。

反跳爆弾には、ダム攻撃用の「アップキープ」と、対艦攻撃用の「ハイボール」の二種類が存在します。アップキープ爆弾は、1943年のチャスタイズ作戦で、イギリス空軍第617中隊によってドイツのルール工業地帯のダム攻撃に使用され、大きな戦果を上げました。

開発の経緯

反跳爆弾のアイデアは、19世紀の英国海軍が砲弾が水面で跳躍することで射程が伸びる現象を港湾防御に利用していたこと、そしてフランスの要塞攻城の名手ヴォーバンが跳飛射撃を活用していたことにヒントを得ています。バーンズ・ウォリスは、これらの知識を基に1941年に反跳爆弾の着想を得て、1942年には論文を発表しました。

対艦爆弾'>[爆弾]

最初に考案された反跳爆弾は、対艦攻撃用のハイボール爆弾でした。この爆弾は、通常の魚雷よりも多くの炸薬を搭載可能であり、魚雷防御網を飛び越えて敵艦の喫水線下を攻撃できるという利点がありました。ハイボール爆弾は、球形でゴルフボールのような窪みがあり、モスキートに2発搭載可能でした。

対ダム攻撃用爆弾'>[爆弾]

イギリス空軍は、ドイツの水力発電ダムの重要性を認識しており、これを破壊するために反跳爆弾に着目しました。バーンズ・ウォリスは、反跳爆弾を使用することでダムを破壊できると考え、1943年初めに「ダムに対する爆撃」という報告書を作成しました。

完成したアップキープ爆弾は、当初の設計とは異なり、重量4,200kg、トーペックス炸薬量3,000kgの円筒形爆弾でした。爆弾は、投下前に毎分500回転のバックスピンがかけられ、低高度から水面を跳ねながらダムに接近するように投下されました。ダム手前で水没した爆弾は、水圧感応型信管によって水深9.1mで爆発する仕組みでした。

アップキープ爆弾は、1943年5月のチャスタイズ作戦でドイツのダムを破壊することに成功しました。

戦果と評価

チャスタイズ作戦は成功したものの、損害も大きく、その後アップキープ爆弾が使用されることはありませんでした。ハイボール爆弾も、ドイツ戦艦ティルピッツ攻撃に使用される予定でしたが、作戦は中止されました。しかし、反跳爆弾は、その革新的な発想で、第二次世界大戦の兵器開発に大きな影響を与えました。

ドイツとソ連の反跳爆弾

ドイツ軍も、チャスタイズ作戦で不発となったアップキープ爆弾を分析し、反跳爆弾の開発を試みました。しかし、ドイツの反跳爆弾は、投下前のバックスピンがなかったため、実験段階で危険と判断され、プロジェクトは中止されました。

一方、ソ連軍も第二次大戦中に反跳爆弾を使用しました。1944年には、フィンランドのコトカで、ドイツ軍の防空艦ニオベを反跳爆弾によって撃沈しています。

その後

アップキープ爆弾とハイボール爆弾は、戦後長らく国家機密扱いでしたが、1974年に公開されました。現在では、復元された爆弾が各地で展示されています。

まとめ

反跳爆弾は、第二次世界大戦中に開発されたユニークな兵器であり、その技術は後の兵器開発に大きな影響を与えました。特に、水面を跳ねるという発想は革新的であり、現在でもその技術は注目されています。

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