取り持ち女 (フェルメールの絵画)

取り持ち女

『取り持ち女』（とりもちおんな、オランダ語: De koppelaarster、独語: Bei der Kupplerin）は、オランダ黄金時代を代表する画家ヨハネス・フェルメールが1656年に制作した油彩画です。本作は現在、ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館に所蔵されています。

この作品は、風俗画として分類され、売春宿の場面が描寫されています。画面には二人の女性と二人の男性が描かれています。左側の人物は仲介者として客を迎えている娼婦であり、彼女の隣にいる男性の姿が、フェルメール自身の自画像であるとの主張がなされています。この主張には、様々な研究者の意見が支持されています。

『取り持ち女』は、フェルメールの作品の中では数少ない自署済みのものの一つであり、他に『天文学者』や『地理学者』と並ぶ、フェルメールの初期の風俗画の一例です。この絵には、1622年ごろにディルク・ファン・バビューレンが描いた同名の作品からの影響が色濃く見られます。また、一部の美術史家は、この作品がフェルメールのスタイルから外れているという見解を持っており、独自の探求が展開されていることを指摘しています。

ピーテル・スウィレンスは1950年の著書で、『取り持ち女』がフェルメールの真作であるのなら、彼がスタイルを確立するための模索をしている作品であると述べています。また、エドゥアルド・トラウトショルトは、『取り持ち女』が24歳当時のフェルメールの個性を強く反映している作品だと語っています。

本作は元々ドゥフツォフのワルドシュタイン・コレクションに所蔵されていましたが、1741年にザクセン選帝侯アウグスト3世に購入され、彼の美術品コレクションの一部としてドレスデンに収蔵されました。

左側男性がフェルメールの自画像?

『取り持ち女』の左端に描かれている男性が実際にフェルメールの自画像であるという説があります。この主張は、彼の絵画スタイルに共通する特性から支えられています。当時のオランダ絵画では、画家が鑑賞者を見つめるように自画像を描くことが一般的でした。その特徴には、笑顔で鑑賞者を見つめる、異国風の帽子をかぶる、グラスを掲げる、群衆の一角にいる、リュートを持つ、などがあり、これらはレンブラントやフランス・ファン・ミーリスの作品にも見られます。

この左端の人物像は、これらの特徴をすべて満たしているとされ、さらに顔の描写が精巧であることや、光の使い方が他の人物たちと異なっていることが指摘されています。また、彼が左手にグラスを持っていることが、この人物が左利きであった可能性を示唆しており、右手の配置も非常に巧妙です。

この左端の人物像は、かつてのレンブラントの自画像と類似性を持つとも言われており、一部で光の扱い方が同様の手法で描かれている点も注目されています。さらに、背景の壁の描写が明るく着色されていることが自画像に特有の手法ではないかと考えられています。

このように、『取り持ち女』に描かれた左側の人物がフェルメールの自画像である可能性は高いものの、現時点で確証を持ってこの説を立証するには至っていません。今後の研究に期待が寄せられます。

参考文献

• - Wheelock, Arthur K., Jr. (1995). Johannes Vermeer. Yale University Press.

関連項目

• - フェルメールの作品
• - オランダ黄金時代の絵画

外部リンク

• - Essential Vermeer website

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