叡山電鉄鞍馬線

叡山電鉄鞍馬線：古都の風情と山岳美を繋ぐ路線

叡山電鉄鞍馬線は、京都府京都市左京区の宝ケ池駅から鞍馬駅までを結ぶ、風光明媚な鉄道路線です。全長8.8kmの路線は、市街地の喧騒から離れ、次第に山深い自然へと移り変わっていく様子を車窓から眺めることができます。鞍馬寺や貴船神社といった歴史的・文化的観光地へのアクセス路線として、多くの参拝者や観光客に利用されています。

市街地から山岳へ：変化に富んだ路線風景

宝ケ池駅から二軒茶屋駅までは、山裾沿いに走り、住宅地が広がる都市近郊路線といった趣です。しかし、二軒茶屋駅を過ぎると、勾配50‰の山岳路線へと様変わりします。特に市原駅と二ノ瀬駅間の「もみじのトンネル」は圧巻で、秋の紅葉シーズンには鮮やかな紅葉が車窓を彩ります。貴船もみじ灯篭の期間中はライトアップされ、夜間は車内灯を消して徐行運転を行い、幻想的な紅葉のトンネルを楽しむことができます。

交通の要衝：鞍馬へのアクセス

鞍馬線は、鞍馬へのアクセスにおいて重要な役割を担っています。鞍馬街道（京都府道38号京都広河原美山線）は周辺道路が狭隘なため、休日や観光シーズンには慢性的な渋滞が発生します。特に鞍馬の火祭などのイベント開催時には、周辺道路が通行止めになることも多く、鞍馬地区への唯一のアクセス手段として、鞍馬線の重要性は増します。

運行形態と歴史

鞍馬線は、平日ダイヤと土休日ダイヤの2種類が基本となっています。全列車が叡山本線と直通運転しており、日中は出町柳駅と鞍馬駅を15分間隔で結んでいます。夜間は、二軒茶屋駅や修学院駅発着の列車も運行されます。お盆や年末年始、観光シーズンなどには、特別ダイヤが組まれることもあります。

2004年からは原則として全列車ワンマン運転となっていますが、多客時には車掌が乗務することもあります。

鞍馬線は1928年に鞍馬電気鉄道によって開業しました。その後、京福電気鉄道を経て、1986年に叡山電鉄に譲渡されました。開業以来、叡山本線との直通運転を続けており、長い歴史の中で、様々な改良や近代化が施されてきました。

路線データ

路線距離：8.8km
軌間：1435mm
駅数：10駅
複線区間：宝ケ池駅 - 二軒茶屋駅間
単線区間：二軒茶屋駅 - 鞍馬駅間
電化区間：全線電化（直流600V）
最高速度：60km/h
最急勾配：50‰

鞍馬線の歴史における主な出来事

1928年：山端駅（現在の宝ケ池駅） - 市原駅間が開業。
1929年：全線開通。出町柳駅まで直通運転開始。
1935年：鴨川水害により全線不通となるも、後に復旧。
1964年：列車衝突事故が発生。
1986年：叡山電鉄に譲渡。
1988年：ワンマン運転開始。
2004年：原則として全列車ワンマン運転となる。
2018年：台風21号の影響で全線運休となるも、後に復旧。
* 2020年：令和2年7月豪雨の影響で不通となるも、後に復旧。

鞍馬線は、その歴史と自然豊かな風景、そして観光地へのアクセスという役割を担い、これからも多くの人々に愛される路線であり続けるでしょう。

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