古マタラム王国

古マタラム王国は、717年から929年にかけてジャワ島中部に存在したヒンドゥー王国です。16世紀以降のマタラム王国（イスラム・マタラム）と区別するため「古」をつけて呼ばれることが多いですが、当時の人々は単に「マタラム（王）国」と自称していました。

古マタラム王国の興隆

古マタラム王国の歴史は、717年にサンジャヤ王が即位したとされるチャンガル碑文に記されています。サンジャヤ王は、プラサスティ碑文にも描かれており、その後の14代の王へと王位が継承されたことが、碑文の研究から明らかになっています。特に11代目のバリトゥン王（898年 - 910年）の時代には、壮大なヒンドゥー寺院であるプランバナン寺院（チャンディ・ロロ・ジョグラン）が建設されました。この寺院は、次の王であるダクサ王（910年 - 919年）の時代に完成し、1991年にはユネスコ世界遺産に登録されています。プランバナン寺院から南に2km離れた場所にあるラトゥボコの丘には、778年に建設された古マタラム王国の王宮（クラトン）跡が残されています。

古マタラム王国の遷都と衰退

イサナ家のシンドク王（929年 - 947年）の時代になると、古マタラム王国の都は東部ジャワへと移され、その後、クディリ王国として知られるようになります。遷都の原因は明確にはわかっていませんが、地震や伝染病などの災害が影響したと考えられています。有力な説としては、1006年頃のムラピ火山の大噴火が引き起こした地震や津波、噴火により、飢饉や疫病が広がり、住民が避難を余儀なくされたことが挙げられています。

古マタラム王国の文化的遺産

古マタラム王国は、インドネシアにおけるヒンドゥー諸王朝の始祖的な王朝として位置づけられています。その宮廷文化は、現在でもヒンドゥー的な色彩の強い宮廷舞踊として受け継がれており、古マタラム王国の歴史と文化は、現代のインドネシアにも深く根付いています。

古マタラム王国の歴代王

碑文から確認されている歴代の王は以下の通りです。

サンジャヤ（717年 - 746年）
ラカイ・パナンカラン（760年 - 775年）
ラカイ・パヌンガラン（775年 - 800年）
ラカイ・ワラック（800年頃 - 819年以前）
ラカイ・ガルン
ラカイ・ピカタン
ラカイ・カユワンギ（ロカパラ）
ラカイ・ワトゥフマラン
バリトゥン（898年 - 910年）
ダクサ（910年 - 919年）
トゥロドン（919年 - 924年）
ラカイ・ワワ（924年 - 929年）

古マタラム王国の歴史は、インドネシアの文化と歴史において重要な役割を果たしており、その遺跡や文化遺産は、今もなお多くの人々に敬意を払われています。

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