古宇田實

古宇田實の生涯と業績

基本情報

古宇田實（こうだ みのる、1879年1月13日 - 1965年2月16日）は、日本の著名な建築家、建築史家、そして庭園研究家です。彼は神戸高等工業学校の校長を務めたことで知られています。また、フレッチャーの『建築史』を日本語に翻訳したことでも名を馳せています。彼の活動は主に奈良、京都、鎌倉などの文化財の修復や設計にあり、その豊かな業績が評価されて勲一等に叙せられました。

出生と教育

古宇田實は、茨城県の判事である古宇田義鼎の二男として東京で生まれました。1902年、東京帝国大学工科大学の建築学科を卒業し、その後大学院へ進みます。彼は師の辰野金吾によって庭園研究を始め、その際には西洋庭園と日本庭園の研究をそれぞれ勧められました。

教職と代表作

古宇田は、1905年に東京美術学校の教授に就任し、1929年までこの職にありました。彼の代表作の一つである「吾楽陳列所」は、東京美術学校関係者の作品展示場として1911年に建設されました。この建物は、彼が満州や中国への旅行中に感じた「支那趣味」を反映した独特なデザインで評価されました。他にも名士の住宅や上野東照宮五重塔の修理を手がけ、1910年の日英博覧会にも出展しました。

海外留学と教育改革

1919年、古宇田は文部省の留学生として海外に赴き、インドや英国、フランス、イタリア、アメリカなどを回り、建築装飾研究を深めました。帰国後の1922年には神戸高等工業学校の教授となり、同校における建築科の設立に尽力しました。1929年には校長に就任し、教育界でもその影響力を発揮しました。

晩年と文化財の修復

彼は1935年に満州と中華民国への出張を行い、1937年には法隆寺国宝保存工事事務所長に就任しました。1945年に神戸高等工業学校を退官した後は、神戸市復興委員として公共事業に貢献しました。1947年には名誉教授として神戸大学にも関与しました。

鎌倉に住まいを移した後、彼は文化財建築の専門委員として活動し、鎌倉の寺院の修復や設計に携わりました。この時期、彼は多くの僧侶たちと親交を深め、仏教に対する信仰も厚く、日々読経を行っていたことが知られています。

死去と遺産

古宇田實は1965年に鎌倉で逝去しました。彼の密葬は多くの寺院の僧侶が参列する中で行われ、彼の業績は後世にも強い影響を与え続けています。文化財の修復活動や教育への貢献により、彼は日本の建築界に多大な功績を残す存在となったのです。

主な作品

• - 吾楽陳列所（1911年） - 関東大震災で焼失
• - カフェー・プランタン装飾（1911年）
• - 東京美術学校本館
• - 神戸商工会議所（1929年、1987年取壊し）
• - 神戸松竹座
• - 清水寺本堂（1931年、国の登録有形文化財）
• - メッケル銅像台座
• - 石清水八幡宮エジソン記念碑（1929年）

まとめ

古宇田實の生涯は、日本の建築と文化財への深い愛情に支えられたものであり、彼の貢献は今もなお評価されています。彼の丁寧な仕事と教育への情熱は、未来の建築家や研究者たちに受け継がれています。

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