古川国府盆地

古川国府盆地

岐阜県飛騨市古川町と高山市国府町にまたがる古川国府盆地は、宮川流域に沿って南東から北西へ細長く延びる山間盆地です。周囲を1000m級の山々に囲まれ、平地は主に宮川と荒城川の氾濫によって形成されました。盆地内には、支流によって枝分かれした段丘や扇状地、緩やかな斜面が広がっています。

地形の特徴

盆地の長さは約12km、幅は最大でも約2kmと、盆地としては非常に狭い部類に入ります。しかし、地下には約90mもの厚さの砂礫層が堆積しており、盆地としての明確な構造を持っています。この砂礫層は、頑強な船津花崗岩の上に形成されており、近隣の高山盆地とは異なり、沖積層や更新世で形成された地盤が浅いことが特徴です。

気候

気候は内陸性と日本海側の影響を併せ持ち、昼夜や夏冬の寒暖差が大きく、湿度が低いのが特徴です。また、豪雪地帯であり、冬季は多くの雪が降ります。

農業

飛騨地方随一の農地面積を誇り、「飛騨の米どころ」として古くから水田を中心とした農業が盛んです。

朝霧

昼夜の寒暖差が激しい飛騨地方の中でも、特にこの盆地では朝霧が頻繁に発生します。10月から12月初旬にかけて発生しやすく、場所によっては視界が100m以下になることもあります。しかし、霧は午前中には解消し、その後は晴天となることが多いです。盆地を見下ろす安峰山や大坂峠からは、雲海のような幻想的な朝霧の絶景が望めます。

歴史

縄文時代の遺跡が多数発見されており、古くから人が住んでいたことがわかります。また、飛騨地方最古とされる水田遺跡や、飛騨地方で確認されている古墳の85%以上がこの盆地に存在しています。飛鳥時代から奈良時代初期にかけて建てられた古代寺院跡も15ヶ寺中12ヶ寺がこの盆地周辺に確認されており、このことから、高山盆地が飛騨の政治経済の中心となる以前は、この古川国府盆地が中心地であったと考えられています。

室町時代には、戦国武将による飛騨の覇権争いの舞台となり、「飛騨の乱」や「八日町の戦い」が繰り広げられました。戦国時代末期には、金森長近によって飛騨が攻略され、増島城が築かれました。

参考文献

国府町史／自然編
国府町史／考古・指定文化財編

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