古川孝順

古川 孝順

古川 孝順（ふるかわ こうじゅん）は、1942年に佐賀県で生まれた日本の社会福祉学者です。長年にわたり、大学教育と学術研究の第一線で活躍し、日本の社会福祉学の発展に多大な貢献をしてきました。

古川氏は、日本社会事業大学社会福祉学部児童福祉学科で社会福祉分野の学びをスタートさせました。その後、東京都立大学大学院人文科学研究科で修士課程を修了し、さらに研鑽を積みます。日本女子大学からは博士（社会福祉学）の学位を授与されており、その際の論文タイトルは『社会福祉学序説』でした。この論文は、後の研究活動における基盤となる社会福祉学の根本的な問いを探求したものであることがうかがえます。

研究者としてのキャリアは、当初、児童福祉分野から始まりました。しかし、次第にその関心は社会福祉全体の歴史や、より普遍的な社会福祉学の理論へと広がり、研究テーマをシフトさせていきます。この研究領域の拡大は、古川氏の視点の広さと、社会福祉という学問そのものの深掘りへの意欲を示しています。

教育者としては、1967年に熊本短期大学の専任講師に着任したことから始まりました。その後、1971年には母校である日本社会事業大学に専任講師として戻り、1982年には同大学の教授に昇任しました。1991年からは東洋大学社会学部の教授として新たな環境で教育・研究活動を展開し、2005年には東洋大学のライフデザイン学部の教授に配置換えとなります。2012年からは西九州大学健康福祉学部の教授を務め、多様な地域や大学でその知識と経験を伝えてきました。2019年には長野大学の学長特別補佐として大学運営にも携わり、2021年からは同大学の教授として、現在も教育・研究活動を続けています。このように、半世紀以上にわたり日本の各地で社会福祉学の研究・教育に尽力しています。

学術界における貢献も顕著であり、日本社会福祉学会の会長を務めた経験があります。学会のリーダーとして、社会福祉学の進歩と普及に貢献しました。

古川氏の学術的業績は、膨大な数の著作として結実しています。単著だけでも、『子どもの権利』、『児童福祉改革』、『社会福祉論』、『社会福祉学序説』、『社会福祉の運営』、『社会福祉学の方法』、『福祉ってなんだ』など、社会福祉の多岐にわたるテーマに関する著作があり、その探求の深さが伺えます。また、共著、編著、監修、訳書も多数出版しており、他の研究者との共同作業や、次世代の研究者の育成、海外の知見の紹介にも積極的に取り組んできました。特に、共著・編著には、児童福祉、社会福祉施設の課題、社会福祉供給システム、社会福祉士・介護福祉士向けの用語集、介護福祉、社会福祉の歴史など、実践や教育に直結するテーマのものが多く見られます。これらの著作群は、日本の社会福祉学の研究者や実践家、そして学生にとって不可欠な文献となっており、古川氏の学術的遺産の大きさを物語っています。

古川孝順氏は、研究、教育、学会活動、そして著作活動を通じて、日本の社会福祉学の理論的深化と普及に長年貢献してきた、斯界の重鎮と言えるでしょう。現在も精力的に活動を続けています。

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