古田良一

古田 良一

古田 良一（ふるた りょういち、1893年11月7日 - 1967年7月12日）は、近代日本を代表する日本史研究者の一人です。特に、日本における海運史研究の第一人者として知られ、その研究は後に多くの追随者を生み出しました。

生涯と学歴

1893年、現在の名古屋市熱田区にあたる愛知県愛知郡熱田町に生まれました。旧制高校を経て、歴史学を志し京都帝国大学文科大学史学科で学び、1918年に卒業しています。京都帝国大学では、当時の著名な日本史学者であった内田銀蔵に師事し、史学研究の基礎と専門知識を深く身につけました。

研究活動と職歴

大学卒業後、研究者としてのキャリアをスタートさせます。一時は神戸市史編纂員として史書編纂の実務に携わった後、東北帝国大学法文学部に迎えられ、助教授に着任しました。そして、1929年には同大学の教授へと昇任。戦後、東北帝国大学が東北大学へと改組された後も引き続き歴史学の教授として、長年にわたり研究と教育に情熱を注ぎました。

古田氏の研究の中心テーマの一つは、日本における海運史です。特に、江戸時代の経済活動を支えた東廻り海運や西廻り海運に関する詳細な研究は高く評価されており、この分野での業績が認められ、1947年には「東廻海運及び西廻海運の研究」により文学博士の学位を取得しました。この研究は、日本の近世における物流や経済構造を理解する上で重要な貢献を果たしています。

東北地方における貢献

東北大学での在職中、古田氏は東北地方の歴史研究の振興にも多大な貢献をしました。地域の歴史研究者や愛好家を組織し、東北史学会を創設。この学会は、東北地方の豊かな歴史資料の発掘・研究を促進し、地域史研究の拠点となりました。また、長年にわたり「宮城県史」や「仙台市史」といった主要な地方史誌の編纂にも深く関与し、正確かつ詳細な記述によって、これらの史書を後世に残る価値あるものとしました。教育者としては、多くの学生を指導し、次世代の研究者を育成することにも力を注ぎました。

定年退官後と晩年

1957年に東北大学を定年退官し、名誉教授の称号を授与されました。退官後も研究への情熱は衰えず、宮城学院女子大学の教授として教育活動を続けました。晩年に至るまで、精力的に研究成果を発表し、著書を世に送り出しました。

主な著作

古田氏の主要な研究成果は、数多くの著書として結実しています。特に海運史に関する著作は代表的なもので、『日本海運史綱要』や『日本海運史概説』、『海運の歴史』などがあり、これらの著作を通じて、海運が日本の歴史や経済に果たした役割を詳細に論じました。また、概説書や通史、人物伝など、幅広いテーマで執筆しており、『概観日本通史』、『教養としての国史』、『河村瑞賢』といった著作もよく知られています。これらの著書は、専門家だけでなく、一般の歴史愛好家にも日本の歴史を学ぶ上で貴重な資料となっています。

結び

古田良一は、海運史研究のパイオニアとして学術的な業績を残すとともに、東北地方の歴史研究の基盤を築き、多くの史書編纂に貢献するなど、地域史研究の発展にも寄与しました。その研究と教育における功績は、今なお高く評価されています。1967年、73年の生涯を閉じました。

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