句章県

句章県は、中国の歴史において重要な役割を果たした県の一つです。その名は、紀元前473年に越王勾践が呉を滅ぼし、覇を唱えた際に築かれた句章城（現在の浙江省寧波市江北区慈城鎮三勤村城山渡）に由来します。

句章県が設置されたのは秦代の紀元前221年で、会稽郡に属していました。当時、句章港は全国でも有数の港湾として知られ、海上交通の要衝として繁栄しました。しかし、晋代に入ると、隆安4年（400年）に句章城が孫恩の反乱軍によって陥落し、守将であった劉裕は、句章県の県治を小渓（現在の寧波市海曙区鄞江鎮）に移さざるを得なくなりました。

隋代に入ると、開皇9年（589年）に句章県は鄞県・鄮県と合併し、新たな句章県として再編されました。しかし、唐代になると、武徳4年（621年）に姚州と鄞州に分割され、句章県はその歴史に幕を閉じました。

句章県は、その成立から廃止までの間に、政治・経済・軍事の各面で重要な役割を果たしました。特に、句章港は海上交易の拠点として、中国の発展に大きく貢献しました。句章県の歴史は、中国の地方行政区画の変遷や、戦乱による社会の変化を物語る上で、貴重な事例と言えるでしょう。

もう一度検索