只者

稲葉浩志 6th Original Album 「只者」

B'zのボーカリスト、稲葉浩志が2024年6月26日にリリースした6枚目のオリジナルアルバム『只者』。
前作『Singing Bird』から約10年ぶりとなる本作は、ソロ活動に加え、INABA/SALASとしての活動を経て、満を持して発表された。

概要

アルバムには、ソロライブ『Koshi Inaba LIVE 2023 〜en3.5〜』で初披露された「BANTAM」「NOW」や、TCK（東京シティ競馬）2024年度CMイメージソング「Starchaser」、フジテレビ系ドラマ『あなたがしてくれなくても』主題歌「Stray Hearts」など、タイアップ楽曲を含む全12曲を収録。

初回限定盤「PREMIUM EDITION」には、『Koshi Inaba LIVE 2023 〜en3.5〜』横浜アリーナ公演の模様を収めた映像作品（DVDまたはBlu-ray）が同梱される。

今作は、稲葉浩志が「只者」＝「何者でもないひとりの人間」として、日々を過ごす中で出会う何気ない情景や遍在的な苦悩や葛藤を飾らない言葉で綴った歌詞と、奇を衒うことなく着実に緻密に積み重ねられたメロディーによって紡いだ12編のドラマを収めたアンソロジー的作品。

制作背景

アルバムタイトルの由来について、稲葉は2023年に作品集『シアン』を発売した際のインタビューで、過去の自分を振り返った際に「自分は普通の人間だ」と再確認したことがきっかけだと語っている。

制作のきっかけは、コロナ禍による自粛期間中に自宅で楽曲制作に没頭したこと。ギターとボーカルだけのデモ制作から始まり、徐々に楽曲として完成させていったという。先行配信された「BANTAM」「Stray Hearts」も、この時期に制作されたデモが元になっている。

稲葉はB'zの活動をメインとしながらも、「B'zでもINABA／SALASでもない、誰かに影響されて出てきた知らない自分を楽しむよりも、思ったように曲を作ってみて久しぶりにその楽曲と向き合ってみよう」という気持ちが芽生え、ソロアルバムの制作に至った。

楽曲について

アルバム収録曲は、稲葉浩志の日常や感情が色濃く反映された楽曲が並ぶ。

1曲目の「ブラックホール」は、「これとは違う人生があったのではないか」という自問自答を巡らせる内省的な歌詞が印象的な楽曲。稲葉自身も「自分が出ている」と語るように、アルバム全体の核となる楽曲だ。

「Starchaser」は、東京シティ競馬（TCK）のCMのために書き下ろされた楽曲で、疾走感あふれるサウンドが特徴。

「Stray Hearts」は、ドラマ主題歌として書き下ろされたバラードで、切ない歌詞とメロディが聴く人の心を掴む。

「我が魂の羅針」は、スマートフォン向けシミュレーションRPG『アスタータタリクス』のエンディングテーマで、Mr.Childrenの鈴木英哉がドラムで参加している。

「cocoa」は、『Koshi Inaba LIVE 2010 〜enII〜』の退場曲として流れていた楽曲で、約14年の時を経て遂にリリースされた。2004年に制作されたデモを元に、歌詞も古くさくなく今と重なる部分があったことから、アルバムの最終曲として収録が決まった。

リリースと記録

アルバムは、オリコン週間デジタルアルバムチャートで1位を獲得。自身初の同チャート1位となった。

また、週間アルバムランキングでも1位を獲得し、ソロでのアルバム首位獲得記録を更新した。

まとめ

『只者』は、稲葉浩志が「何者でもないひとりの人間」として、自身の内面を深く掘り下げた作品。

飾らない言葉で綴られた歌詞と、緻密に積み重ねられたメロディが、聴く人の心に深く響く。

B'zファンはもちろん、全ての音楽ファンにおすすめしたい1枚である。

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