叫ぶ骨 -札幌・大沼・羊蹄山殺人行-

『叫ぶ骨 -札幌・大沼・羊蹄山殺人行-』は、1997年8月18日にTBS系列の月曜ドラマスペシャル枠で放送されたテレビドラマです。北海道放送（HBC）が制作した『北海道旅情サスペンス』シリーズの第2弾として企画されました。

あらすじ

物語は、北海道札幌でオートバイショップを経営する今野岩男が、家族と共に美瑛へオートキャンプに出かけたことから始まります。行楽の途中、岩男は地面から突き出した白骨化した人骨を発見します。その傍らに道南に自生するエゾヘビイチゴを見つけたことで、岩男は現場の不自然さに気づきます。発見された遺体は、7年前に長野市で行方不明となっていた養蜂業者・蒔田治夫であることが判明。死亡時期は1990年7月と推定されました。

兄の死の真相を知りたいという妹のなおみと、岩男、そして義妹の陽子の3人は、蒔田が失踪する直前の足取りをたどり始めます。なおみの記憶を頼りに、蒔田が最後にハチミツを送った大沼公園から調査を開始し、積丹半島や余市へと情報を追います。その過程で、蒔田が毎年、羊蹄山の麓にある喜茂別の「北村牧場」にミツバチの巣箱を設置するために訪れていた事実を突き止めます。さらに、その牧場オーナーであった北村が、10年前（1987年7月18日）に不審な転落事故で死亡していたことを知ります。

10年前の北村の死の真相を他殺と立証できず、失意のうちに定年退職した元刑事の藤川も捜査に加わります。岩男たちは、7年前の蒔田の死と10年前の北村の死には関連があるのではないかと疑い始めます。事件の鍵を握る人物として浮かび上がったのは、北村とも蒔田とも面識があった北村の妻でした。夫の死後、保険金を受け取り消息を絶っていた妻・寿子（としこ）は、函館、洞爺湖温泉、大沼と居場所を変えながら各地で男性トラブルを繰り返し、現在は札幌すすき野で会員制高級クラブのママとして働いていることが藤川の調査で判明します。

その高級クラブママの写真を見た陽子は、どこかで見覚えがあると感じます。実は、寿子こそが、岩男と陽子の馴染みのバーのママ・はるこの後輩であり、姿をくらましていたホステス「みゆきママ」の現在の姿でした。寿子には、街中で「鈴の音」を聞くと異常な反応を示す特徴があり、白骨遺体と共に発見された遺留品の鈴に対しては特に極端な反応を示します。この鈴が、寿子が5歳の時に事故死した父の形見であり、蒔田を美瑛に埋める際に落としてしまった動かぬ証拠であることが明らかになります。

美瑛の地にエゾヘビイチゴが不自然に群生していたのは、蒔田が道南の大沼で殺害された際、その衣服に種子が付着した状態で、約400km離れた美瑛まで運ばれ埋められたことを示していました。それはあたかも、「ここにいる」という蒔田の魂の叫びであったかのようです。

本作品には、オープニングやエンディング、本編の随所に、制作局であるHBCが特選した北海道の雄大な自然やそこに生息する生物の美しい映像が効果的に挿入されています。

主な出演者

今野岩男：世良公則（札幌でバイクショップを経営する主人公）
小峰陽子：斉藤慶子（岩男の義妹、PC普及に努める会社員）
今野なつみ：茅野佐智恵（岩男の娘、喘息治療のため札幌に移住）
藤川：長門裕之（北村の事件を担当した元刑事、現在は探偵）
工藤寿子：神保美喜（すすき野の高級クラブ「寿々」のママ、事件の鍵を握る女性）
蒔田なおみ：白木美貴子（陽子の友人、兄の死の真相を追う）

スタッフ

脚本：金子成人
演出：松田耕二、金沢健次
音楽：長谷部徹
製作：北海道放送、TBS

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