可用性

可用性（Availability）

概要

可用性とは、システムやサービスがユーザーに対して継続的に利用可能である度合いのことを指し、英語での表現は「availability」です。具体的には、ユーザーが求めたときに機能を提供できる状態がどの程度保たれているかを示します。これに関連して、可用性には「信頼性」と「保守性」が含まれることが多く、これらをまとめてRAS（Reliability, Availability, Maintainability）と呼ぶことがあります。さらに、このいずれにも「保全性」や「安全性」を追加したコンセプトがRASIS（Reliability, Availability, Maintainability, Integrity, Safety）です。

可用性の定義

日本工業規格（JIS）では、可用性に関する定義がいくつか存在します。例えば、JIS X 0014では「必要な外部リソースが与えられたときに、ある時点において機能を果たせる能力」とされています。また、JIS Q 20000-1ではサービスの実行能力についての定義があり、あらかじめ合意された時点または期間にわたって必要な機能を実行できる特性が求められています。これらの規格により、可用性に対する理解が深まります。

信頼性と保守性の関係

可用性は、信頼性や保守性と密接に関連しています。信頼性は、システムが故障する頻度がどれほど少ないか、また故障後の復旧時間がどれほど短いかを示します。一方、保守性とは、システムがどれだけ簡単にメンテナンスや修理ができるかを表します。これら三者は混同されがちですが、障害対策を考える上ではそれぞれを独立したものとして扱うことが重要です。一般的に言えば、信頼性が高ければ可用性も高くなりやすいですが、故障が発生した場合でも冗長化や影響の最小化が実現できていれば、可用性への悪影響を減少させることが可能です。また、保守性が低い場合、修理や点検に要する時間が長くなり、このことが全体の可用性に影響を与えることになります。

歴史的背景

可用性という概念の評価は、1970年にIBMがSystem/370シリーズを発表した際に広がりを見せました。このコンピュータは、IBMが1964年に発表したSystem/360シリーズの後継機であり、新たにRASという考え方を盛り込むことで商品としての新しい価値を強調しました。他社としては、富士通と日立がIBM互換機のMシリーズを展開し、これもまたRAS理念を導入した製品でした。その結果、イニシャルのRASに「I」と「S」を加えた形のRASISが普及し、コンピュータ分野における重要な概念となりました。

可用性の計測

可用性は、稼働率（availability rate）として数値的に表現されます。稼働率は、機器が特定の瞬間で機能している確率や、一定時間での機能維持の確率を指します。稼働率（A）は次の式で表されます。

$$A = \frac{MTBF}{MTBF + MTTR}$$

ここで、MTBF（Mean Time Between Failures）は平均故障間隔、MTTR（Mean Time To Repair）は平均修復時間を指します。高い稼働率は、システムが信頼性の高い状態にあることを示します。

関連項目

• - 平均故障間隔 (MTBF): 故障が発生するまでの平均時間。
• - 平均修復時間 (MTTR): 故障発生後、修理が完了するまでの平均時間。
• - RAMS: 可用性に信頼性と保守性を含めた用語。
• - 高可用性 (HA): システムが非常に高い可用性を持つ状態。
• - 冗長化: システムの冗長性を持たせることで可用性を向上。
• - フォールトトレラントシステム: 故障に対して耐性を持つシステム。

もう一度検索