互換機

互換機とは

互換機とは、特定の製品、例えばコンピュータやゲーム機などで使用するために作られたソフトウェアや周辺機器を、他のメーカーの製品でも利用できるように設計されたものです。この概念は、単に同じように動くというだけでなく、異なるメーカー間での相互運用性を実現するために重要です。

互換性のレベル

互換機には、その互換性のレベルによっていくつかの分類があります。

ハードウェア互換：オリジナルの製品の[オペレーティングシステム]やBIOSをそのままインストールでき、同じ周辺機器が使用できるレベルの互換性です。
[ソフトウェア]]互換：アプリケーション[[ソフトウェア]がそのまま使用できるレベルの互換性です。
* ピン互換：接続端子のピン配列が同じで、他の機種の周辺機器やコントローラーをそのまま接続できるレベルの互換性です。

これらの互換性は、互換機を開発する際の設計思想や目標によって異なります。

プラグコンパチブルマシン(PCM)

特に、ハードウェアやOSを含めて完全な互換性を持ち、元の製品と「プラグを差し替えるだけ」でそのまま使用できる機械を「プラグコンパチブルマシン」と呼びます。この概念は、IBMのSystem/360メインフレームの互換機で特に重要視されました。

クローンと互換機

英語圏では、特定のシステムと全く同じ機能を提供する製品を「クローン」と呼び、単に互換性がある製品を「互換機」と区別します。互換機は、元の製品と完全に同じである必要はなく、高度な機能を持つ「上位互換機」や、機能が低い「下位互換機」も存在します。

例えば、「PC/AT互換機|PC_AT互換機」は、IBMの「IBM PC/AT」と全く同じ機能を提供する「PC/ATクローン」として登場しましたが、その後、互換性を維持しつつ異なる機能を提供する製品が現れました。現在では、「PC」という言葉が一般的になっています。

ゲーム機においても、ハードウェアレベルで同じ機能を持つ「クローン機」と、単に同じ機能を持つ「互換機」が存在します。日本では区別されず両方とも「互換機」と呼ばれますが、海外では区別されています。ソフトウェアによるエミュレータは「互換機」とは区別されます。

互換機の現状

近年では、ハードウェアエミュレーションとソフトウェアエミュレーションの両方が存在し、特にゲーム機ではARM系SoC上でLinuxやAndroidなどのOS上でエミュレータを動作させる方法が一般的です。

メインフレームの互換機

メインフレームにおける互換機は、IBMのSystem/360とその後の機種の互換機を指します。IBMはメインフレーム市場を独占していましたが、1965年以降、互換機メーカーが周辺装置の販売を開始し、その後本体の互換機も登場しました。特にアムダール社は、IBMのSystem/370よりも高速で安価な互換機を開発しました。

日本では、通商産業省の指導により、日立製作所と富士通がIBM互換機を開発し、OEM供給も行われました。しかし、IBMは互換機メーカーに対抗するため、設計の変更を繰り返しました。1982年には、日立製作所がIBMの機密情報を不正に入手しようとした事件も発生しました。

最終的に、互換機メーカーはIBMにロイヤリティを支払うことになりましたが、1980年代以降、メインフレームからパソコンへと市場が移り変わり、メインフレームのビジネスは縮小しました。

パソコンの互換機

パソコンにおける互換機は、IBMの「IBM PC/AT」の互換機である「PC/AT互換機|PC_AT互換機」を指します。IBMは、プロセッサやOSに汎用品を使用し、BIOSのソースコードを公開しました。これは、周辺機器やソフトウェアの開発を促す目的でしたが、結果的に互換機が広く普及しました。コンパックのようなクリーンルーム設計によって著作権侵害を回避する企業も現れ、互換機メーカー連合がデファクトスタンダードを決定するようになりました。

1987年には、IBMが後継機「IBM PS/2」でMCAバスを採用したのに対し、互換機メーカーはEISAバスで対抗し、市場はEISAバスを選択しました。1990年代以降も互換機と呼ばれ続けましたが、実際には本家IBM PC/ATとの互換性はほとんど失われていました。2005年、IBMがPC事業から撤退し、「互換機」は単に「PC」と呼ばれるようになりました。

その他の互換機

他にも、Apple IIやNECのPC-9800シリーズ、Macintoshなどの互換機が存在しました。Appleは一時的に互換機路線を推進しましたが、スティーブ・ジョブズの復帰後、互換機路線は打ち切られました。一方、ArduinoやBeagleBoardのように、オープンソースハードウェアのコンピュータも存在し、その互換機も多く存在します。

家庭用ゲーム機の互換機

家庭用ゲーム機では、様々な互換機が存在します。ファミコン互換機、スーパー[[ファミコン互換機]]、PCエンジン互換機、メガドライブ互換機、3DO互換機、セガサターン互換機、ニンテンドーゲームキューブ互換機、ドリームキャスト互換機などがあります。また、複数の機種に対応した互換機も登場しています。

複数機種互換機

近年では、RetroN 5やレトロフリークのような、複数のゲーム機のソフトをプレイできる互換機が人気を集めています。これらの互換機は、様々なプラットフォームのゲームを1台で楽しめる利便性が魅力です。

まとめ

互換機は、異なるメーカー間でソフトウェアやハードウェアの相互運用性を実現する重要な存在です。その歴史は、メインフレームからパソコン、ゲーム機へと広がり、技術革新と共に進化してきました。互換機は、技術的な側面だけでなく、市場の競争や法的問題とも深く関わっています。近年では、エミュレーション技術の進歩により、互換機の概念はますます複雑化しています。

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