台中州庁

台中州庁は、台湾台中市西区に位置する、日本統治時代に官公庁として使用された歴史的建造物です。その名称は、中国語での一般的な「州政府」ではなく、日本語由来の「州庁」が用いられています。この建物は、台中市の歴史と文化を語る上で重要な役割を果たしています。

歴史

台中州庁の地には、清朝統治時代末期に「元誠考堂」という行政機関が建てられました。日本統治時代に入ると、台湾総督府は廃庁置州を実施し、この地には台中州の知事官邸や大屯郡役所が置かれましたが、大正元年（1912年）に撤去されました。現在、元誠考堂の西側に残る台湾府儒考棚が修復中です。

その後、跡地には新庁舎が建設されることになり、総督府の技師であった日本人建築家、森山松之助によって設計されました。1912年に着工し、翌1913年に第一期工事が完了。その後、4段階にわたる拡張工事を経て、1934年に現在の姿となりました。建築様式は、森山が得意とするバロック様式で、交差点の角にある入口には車寄せが設けられています。これは、日本統治時代の官公署建築によく見られる特徴です。建物は、入口から左右に翼を広げるL字型で、広大な裏庭があります。

1945年、台湾光復により国民政府が接収すると、台中市政府は台中市役所ではなく、この州庁舎に移転しました。これは戦前の台中市から見ると2代目の市役所庁舎ということになります。また、一時的には台中県の県庁との合同庁舎としても機能しました。

2010年12月25日、台中県市合併により直轄市としての台中市政府が発足。新市政府は西屯区の七期再開発計画区に建設された台湾大道市政大楼に移転し、州庁には台中市政府都市発展局と台中市政府環境保護局の業務だけが残されました。

2010年5月、台中市政府は台中州庁の都市再開発計画を開始し、2014年5月に入札を公示しました。修復を行いながら、様々なイベントを開催することで機運を高めていきました。2016年7月、市政府と文化部は、台中州庁を都市型博物館とする計画で合意しました。当初は古蹟を利用した宿泊施設とする計画でしたが、台中市長選挙の結果、新市長によって計画が修正されました。

2017年4月には、台中州庁、大屯郡役所、台中州庁付帯建築群、旧市議会の修復と周辺空間開発を含む再開発計画が始動しました。総事業費は3.5億元で、2020年の完工後には現代美術館として生まれ変わる予定でしたが、2020年2月、新市長によって国立美術館への無償譲渡が拒否されました。しかし、2019年4月には国定古蹟に昇格し、2020年8月からは本格的な修復が開始されています。

2021年1月には、建物内から防空壕や金庫が発見され、市政府が専門業者に金庫の解錠を依頼する意向を表明しました。

交通

台中州庁は、台中駅から徒歩約10〜15分の距離にあります。また、以下のバス路線も利用可能です。

鉄道

台中駅から約600メートル、徒歩10-15分または下記のバス

公共レンタサイクル

iBike台中州廳

台中市公車

臺中州廳站（自由路方面）
台中客運：6、9、14、41、101、107、108、132、142、163
全航客運：5
豊栄客運：40、48
仁友客運：30、45
中台湾客運：37、125
臺中州廳站（双方向）
中台湾客運：1、25
仁友客運：21
台中客運：27、57、290
統聯客運：86
聯営：11

関連項目

日本統治時代の台湾
台中州
台中市役所
台中市政府
台湾古跡一覧

外部リンク

市定古蹟 台中州廳 臺中市文化資產處（繁体字中国語）
* 歷史建築 臺中州廳附屬建築群 臺中市文化資產處（繁体字中国語）

台中州庁は、その歴史的価値と美しい建築様式から、台湾の重要な文化遺産として、これからも大切に守り続けられるでしょう。

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