台児荘の戦い

台児荘の戦い

台児荘の戦い（たいじそうのたたかい）は、日中戦争の最中である1938年3月から4月7日まで、山東省最南部の台児荘付近で展開された重要な戦闘です。この戦闘では、日本軍が台児荘を攻略しようとしたものの、中国軍の大部隊に包囲され、結果的に撤退を余儀なくされました。これにより徐州作戦が開始される引き金となり、中国側は「抗戦以来の大勝利」としてこの戦闘を広報しました。

背景

戦闘が始まるまで、日本の参謀本部は1938年夏まで新たな作戦を行わない方針を固めていました。しかし、山東省を占領していた北支那方面軍は度々南下作戦を要請しており、大本営はこれを認めずにいました。そのため、参謀本部作戦課長の河辺大佐が現地で説得するも、司令官たちは不満を抱いていました。こうした中で、2月17日には北支那方面軍の第2軍が大本営の指示に反し、攻撃を指示する事態が起こりました。

参加兵力

この戦いには、日本軍と中国軍の両方から多くの部隊が参加しました。日本軍は北支那方面軍の寺内寿一大将を指揮官とし、第2軍や第5師団、第10師団などが含まれました。一方、中国軍は李宗仁司令長官のもと、約40個師からなる大部隊を編成し、特に台児荘周辺での防衛戦に注力しました。

経過

台児荘への攻撃が開始されると、そこには中国軍の大きな抵抗が待っていました。日本軍第10師団の瀬谷支隊は台児荘運河線を確保しようとしましたが、中国軍の統率する大部隊によって包囲され、多くの死傷者が出ました。その後、救援部隊が派遣されるも、敵の圧力にさらされる苦境が続きました。

3月29日には、日本軍の主力が再度攻撃を試みましたが、両軍の死傷者が増加し、戦況はますます厳しくなりました。さらに、両軍の戦闘が続く中、日本軍の坂本支隊は沂州攻撃を中止し、台児荘への撤退を決定しました。結果として、4月6日には日本軍は台児荘を放棄し、撤退を開始しました。

影響

台児荘からの撤退により、中国軍は日本軍に対して大勝利を宣伝しました。この結果、国民政府は「敵の死傷者が2万余人、兵器も多数奪取した」と発表しましたが、実際は大きな誇張が含まれていたとされています。この戦闘は日本軍が盧溝橋事件後初めての撤退を強いられ、戦局に多大な影響をもたらしました。

戦後の考察では、中国軍の追撃が行われなかったことが指摘されており、戦局をさらに動かす機会を逃したとする意見もあります。台児荘の戦いは日中戦争における戦略的な転機として記憶され、撤退の結果は戦争全体の流れに影響を与えました。

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