台杉

台杉とは

台杉とは、日本を代表する造林樹種であるスギの、特異な仕立て方を指します。通常のスギとは異なり、地際から2メートル以上の高さで多数の幹が株分かれし、独特の樹形を呈するのが特徴です。この特異な樹形は、京都の北山地域で発展し、磨丸太や垂木丸太として利用されてきました。

歴史

台杉の歴史は室町時代の応永年間にまで遡るとされ、当時の茶の湯の流行に伴い、茶室建築に台杉丸太が用いられたことで広く普及しました。現在、一般的に台杉の原種とされているのは、京都大学芦生演習林で中井理学博士が発見し命名した「アシウスギ」です。しかし、台杉の生産が盛んな京都北山地域では、「ホンジロ」「ミネヤマジロ」「ホオヅキジロ」「シバハラ」の4品種が「シロスギ」として知られています。

昭和30年代以降、台杉による丸太生産は徐々に衰退しましたが、その特異な樹形を活かした庭木としての需要は現在も存在します。

全国の台杉

一本の株から多数の幹が発生するという形状の杉は、北山地域の台杉以外にも確認されています。例えば、岐阜県関市板取地区の「株杉」もその一つです。これらの杉は、台杉と同様の生育環境や遺伝的要因によって独特の樹形を形成すると考えられています。

発生要因

台杉の発生要因については、いくつかの仮説が提唱されています。その一つが、日本海側のスギの持つ特性です。日本海側のスギは、積雪期に倒伏した際に、倒れた幹から根を出して新たな幹を立たせる「伏条性」という性質を持つものが多く見られます。この性質を持つスギを台状に伐採した株から多数の幹を発生させたのではないかと考えられています。また、人為的な仕立て方も、台杉の形成に大きく関わっていると考えられます。

台杉の利用

台杉は、主に以下の用途で利用されてきました。

磨丸太：表面を磨き上げた丸太で、建築材や装飾材として利用されます。
垂木丸太：屋根の垂木に使用される丸太で、独特の形状が好まれます。
庭木：近年では、その特異な樹形から庭木としての需要も高まっています。

関連事項

挿し木：台杉の繁殖方法の一つ。
坂上頼泰：接ぎ木の技法を発明した人物。豊臣秀吉より木接太夫の称号を与えられました。
苗木：台杉を育成するための苗木。

外部リンク

* 京都北山杉 台杉

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