台湾からの引き揚げ

台湾からの引き揚げ

1946年2月21日、台湾からの日本人の引き揚げが始まりました。この引き揚げ事業は、日本の敗戦に伴う海外在留日本人の帰国プロセスの一環で、1945年にポツダム宣言を受け入れた後スタートしました。当初、台湾からの帰還は最終段階で実施される予定でしたが、台湾の治安が比較的良好だったため、その開始が遅れることになりました。

台湾における日本人の状況

敗戦後の台湾では、日本人の中で本国への引き揚げを希望する人は少数派でした。これは、台湾人からの危害を受けた経験が乏しく、日常生活がそれほど困難ではなかったためです。在台日本人の多くは、都市生活者であり、生活用品の切り売りなどで厳しい生活を強いられながらも、居住を追い出されることなく、日常を過ごしていました。また、台湾銀行券が引き続き流通していたことも影響しています。

さらに、台湾総督府がその機能を維持しており、日本人を守るための組織を作る必要性が低かったため、組織的な抵抗や帰国のための運動は見られませんでした。しかし、陳儀が率いる大陸系中国人による政府への不満が高まり、反日感情も日増しに強くなりました。こうした状況の中、経済的な圧力や失業率の上昇により、次第に帰国を望む日本人が増えていきました。

引き揚げ事業の開始

1945年10月に台湾の接収が進む中で台湾総督府の権威が低下し、連合国側も治安維持のため日本人を早急に帰還させようとしました。その結果、まず軍人・軍属から優先的に帰還が行われた後、1946年2月21日から民間人の引き揚げが始まりました。この家帰還事業は、時期ごとに数回に分けられ、最終的には軍人・軍属15万7,388人、民間人32万2,156人、合計47万9,544人が台湾から帰国しました。

第一回帰還

第一次帰還は1946年2月21日から4月29日まで行われ、約3万人が帰還しました。台湾に住む日本人は基隆や高雄、花蓮港に集められ、そこから船で日本へ向かいました。出航は毎日行われ、延べ212隻の船舶が使用されました。この中には、83隻のリバティ型輸送船も含まれており、約23万人が無事に帰還することができました。

第二回帰還

第二次帰還は、「留用日僑」と呼ばれる特定の日本人を対象とし、1946年の10月から12月にかけて行われました。この時期に帰国が認められたのは、主に中華民国政府に有用とされた人々と、さまざまな理由で帰国を拒んだ人々でした。このプロセスでは、延べ9隻の船舶が使用され、1万8,585人が帰国しました。

第三回帰還

1947年の時点でも919人の「留用日僑」が残っていましたが、5月にはそのほとんどが帰国を果たしました。このように、引き揚げ事業は徐々に進展し、多くの在台日本人が日本に戻ることができるようになりました。

最終的な動き

1948年には、第四次および第五次の帰還事業が行われ、1949年には最後の帰還が実施されました。それまでの間に、台湾大学には依然として留用されていた日本人もいたものの、彼らも徐々に帰国を果たしていきました。

このように、台湾からの引き揚げは、台湾在留の日本人にとって重要な歴史的出来事であり、彼らの人生と台湾の歴史に深い影響を与えました。

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