陳儀(ちん ぎ)の生涯
陳儀は、
1883年に
浙江省で生まれ、中国の
軍人・
政治家として活躍しました。
字は公侠、号は退素。最終階級は陸軍二級上将です。
大陸時代
幼少期から私塾で教育を受け、
1902年に日本へ留学。陸軍士官学校を卒業後、
清に帰国。
辛亥革命に参加し、浙江都督府の陸軍部長などを務めました。その後、陸軍大学に留学し、帰国後は軍閥の幹部として活躍。
1926年に国民党に投降し、軍の要職を歴任しました。福建省政府主席としては、軍政の整備に尽力しています。
台湾との関わり
1935年、日本統治下の台湾を視察し、その発展ぶりに衝撃を受けました。その後、台湾に関する調査を行い、報告書を出版。台湾を福建省の経済モデルとしました。
1943年の
カイロ会談で、台湾が
中華民国の統治下になることが決定すると、陳儀は台湾調査委員会の主任委員に任命され、台湾の接収計画を策定しました。
1945年、日本の敗戦後、
台湾省行政長官兼警備総司令に就任。台湾の行政を担当しましたが、統制経済政策を実施し、物価の高騰やインフレを招きました。また、公務員に外省人を多く登用したため、本省人との間に摩擦が生じました。
1947年、
二・二八事件が発生。政府と住民の衝突は全島に広がり、多数の犠牲者が出ました。陳儀はこの事件の責任を問われ、解任されました。
失脚と最期
1948年、
浙江省政府主席に起用されましたが、翌年、共産党への投降計画が露見し、逮捕されました。
1950年、台湾に移送され、銃殺刑に処されました。その後、
中国共産党は陳儀を「愛国者」と評価し、その住居は記念施設となりました。
陳儀は日本人女性と結婚しましたが、子供はいませんでした。
陳儀の功績と評価
陳儀は、中国の激動期を生きた
軍人・
政治家であり、その生涯は複雑なものでした。
軍人としての能力は高く評価される一方、
台湾省行政長官時代には、その政策が
二・二八事件を引き起こす一因となったという批判もあります。また、晩年の共産党への帰順計画は、その愛国心を物語るものとして評価されています。
陳儀の生涯は、中国の近代史における複雑な側面を映し出しており、その評価は現在も議論が続いています。