台湾セメント

台湾セメント株式会社（TCC）について

台湾セメント株式会社（Taiwan Cement Corporation, TCC）は、1946年5月に設立された台湾を代表するセメント会社です。その起源は、日本統治時代に建設された浅野セメント高雄工場に遡ります。設立当初は公営企業でしたが、1954年11月に鹿港辜家（ルーガンクー）に事業が引き継がれ、民営化されました。この際、商号は「臺灣」から「台灣」へ変更され、英語略称「T'cement」でも知られるようになりました。

事業概要

TCCは1962年に台湾で初めて株式上場を果たし、ティッカーシンボルは「1101」です。主な事業はセメントの製造・販売であり、「品牌水泥（ブランドセメント）」として展開しています。また、紙袋などの包装材の製造・販売も手掛けています。

TCCは台湾セメントグループの中核企業であり、香港セメントや万慶セメントなどの子会社を抱えています。さらに、東城採石場、和平発電所、台湾通運倉庫、和平海運、新昌化学、TCC化学、TCC Int'l Ltd.など、多岐にわたる分野に事業を拡大し、120社以上の子会社を有する巨大企業グループへと成長しました。

歴史

浅野セメント高雄工場は、第二次世界大戦後、1946年4月に台湾政府のセメント監督委員会が経営を引き継ぎました。同年5月、台湾セメント株式会社（TCC）が設立され、初代総経理には徐宗苞が就任しました。その後、連合国救済復興機関やアメリカ、カナダからの援助を受け、生産設備の復旧が進められました。

1954年11月11日には、中華民国総統府広場前で第1回総会が開催され、国有企業であったTCCは、孫文の提唱した「耕者有其田（耕す者は土地を持つ）」政策に基づき、株式が放出され民営化されました。初代株主には、鹿港辜家、板橋林家、高雄陳家、新光集団呉家、国産集団林家、嘉興セメント張家、永豊宇何家、霖園集団蔡家など、台湾を代表する財閥が名を連ねました。初代董事長には板橋林家の林伯壽、副董事長には高雄陳家の陳凱清が就任しました。

民営化後のTCCは、戦後のインフラ整備や1970年代以降の台湾経済成長を背景に大きく発展しました。特に、台湾十大建設プロジェクトなどの大規模な公共事業により、セメント需要が急増し、事業は盛況を極めました。この経済成長期には、セメント事業に加え、生コン、倉庫、建設、不動産、石油化学、ゴム産業など、多角的な事業展開も行っています。

その他

台湾セメント高雄工場は、旧浅野セメント高雄工場として建設されましたが、採掘権の期限切れにより1992年11月27日に操業を停止しました。その後、保存運動を経て、2019年には旧浅野セメント台湾工場赤レンガ倉庫と旧浅野セメント台湾工場石灰窯と共に高雄市の歴史的文化遺産に登録されました。

関連情報

和信集団: 台湾セメントグループの企業集団。
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