台湾海峡危機

台湾海峡危機

台湾海峡危機とは、中華人民共和国（中国大陸）と中華民国（台湾）との間で1950年代から1990年代にかけて発生した一連の軍事的な緊張の総称です。この危機は、アメリカ合衆国の介入を受けて全面戦争に発展することはありませんでしたが、両岸の関係や東アジア全体に多大な影響を及ぼしました。

発端と背景

台湾海峡危機の原因としては、国共内戦後の1949年に中国国民党が台湾に移転したことが挙げられます。この結果、中国共産党は国民党の残党に対して軍事行動を起こし、1950年代には台湾周辺での戦闘が続きました。特に、アメリカとの軍事的緊張を高めることでソ連に原爆製造技術の供与を求める狙いがあったとも考えられています。

第一次台湾海峡危機（1954年-1955年）

第一次台湾海峡危機は、1954年から1955年にかけて発生しました。国共内戦の結果、台湾に移転した国民党政府は限られた地域に留まり、共産党の人民解放軍に対抗するため、海上ゲリラ戦術を展開していました。朝鮮戦争の影響を受けて中国が朝鮮半島へ関心を移したタイミングで、国民党は反撃を試みましたが、結果を残せませんでした。1954年5月には人民解放軍が一江山島を攻撃し、最終的に占拠される事態に至ります。これにより、台湾側は大陳島の防衛を放棄することとなり、事態は一時的に収束しました。

第二次台湾海峡危機（1958年）

1958年には第二次台湾海峡危機が発生します。8月23日、中国人民解放軍が金門島に対して大規模な砲撃を開始しました。この砲撃は44日間にわたり、台湾側に多くの戦死者を出す結果となりました。台湾はアメリカの支持を得て反撃に出ますが、中国もミサイルの発射を行うなど、緊張は続きました。アメリカは台湾への支援を表明し、最終的に中国側も休戦を選択することになります。

国光計画と海威行動

1962年には蔣介石が大陸反攻の好機と捉え、国光計画に着手しますが、アメリカは全面戦争を恐れて反対しました。また、同時期には海威行動と呼ばれる武装工作員による攻撃が行われますが、戦闘は長続きしませんでした。

第三次台湾海峡危機（1995年-1996年）

1995年から1996年にかけては第三次台湾海峡危機が発生します。この危機では、台湾総統選挙の結果を受けて中国が軍事演習を行い、台湾周辺で緊張が高まりました。アメリカ海軍が介入したことにより、危機的状況は収束しました。

近年の動向

2022年には、アメリカ合衆国のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問を契機に、中国人民解放軍による台湾周辺での軍事行動が行われました。このことが示すように、台湾海峡危機は過去だけでなく、現在においても重要な問題であり続けています。

まとめ

台湾海峡危機は、冷戦時代から現在に至るまでの国際情勢に大きな影響を与えてきた歴史的な出来事です。特にアメリカと中国の関係、そして台湾の独自の立ち位置に影響を及ぼし続けており、引き続き注視が必要です。

もう一度検索