台湾鉄路管理局EMU300型電車

台湾鉄路管理局EMU300型電車

台湾鉄路管理局EMU300型電車は、台湾鉄路管理局（台鉄）の特急「自強号」用として導入された交流電車です。主に西部幹線で使用されていました。

概要

西部幹線の特急「自強号」は、長らくEMU100型が使用されていましたが、慢性的な混雑により増発が求められました。そのため、1987年に製造されたEMU200型に続き、イタリアのソシミ社（SOCIMI）のミラノ工場で1988年に製造され、1989年から運用が開始されました。EMU300型は、EMU200型と同様に、制御電動車2両と付随車1両の3両編成で構成されており、車内設備もEMU200型とほぼ同じでした。合計8編成24両が製造されました。

EMU300型の最高速度は、EMU100型やEMU200型よりも10km/h向上した130km/hとなり、より高速な運転が可能となりました。営業運転開始当初は、台北 - 高雄間を3時間47分で走破するダイヤが設定され、当時の最速記録を樹立しました。この記録は、後に登場したE1000型「自強号」の最速列車（所要3時間59分）よりも速く、TEMU2000型「普悠瑪号」（自強号扱い、所要3時間36分）が西部幹線全線に投入された2016年4月まで、最速記録として保持されていました。

しかし、ソシミ社の倒産により、予備部品の確保が困難になり、車両の状態が悪化し始めました。1993年には、2日間連続で脱線事故を起こすという事態に発展しました。事故原因の調査のため全車両が検査された結果、台車に亀裂が発見されたため、台車の更新が行われ、最高速度も105km/hに制限されることになりました。これにより、運用区間も台北近郊に限定されることになりました。

1997年には、問題のあった台車が交換され、安全性の向上が図られました。2008年からは、手動ドアであった乗降口の自動化をはじめとする接客設備の更新が開始され、2011年までに全車両の作業が完了しました。2015年時点では、臨時運用を除き高雄まで乗り入れる運用には入らず、主に基隆～彰化間の「自強号」として使用されていました。

2021年4月21日には、故障が多発したため全編成が運用から一時離脱しました。同年11月19日のダイヤ改正で、金曜日のみ運転される七堵～彰化間の「自強号」として運用復帰しましたが、同年11月26日に再び故障したため運用を離脱しました。

その後、2023年1月14日に廃車回送され、全編成が除籍されました。

列車編成

EMU300型は、3両固定編成で構成されています。

EM制御電動車：形式EM300、全8両
EPパンタグラフ付中間付随車：形式EP300、全8両
EMC制御電動車：形式EMC300、全8両

走行区間

EMU300型は、七堵機務段に所属していましたが、2021年11月24日現在、営業列車には使用されていません。

関連項目

台湾鉄路管理局
自強号
ソシミ社

外部リンク

* 独特なイタリアの血統~EMU300（繁体字中国語）

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