右門捕物帖 (1982年のテレビドラマ)

『右門捕物帖』(1982年～1983年) ：コミカルな時代劇と家族の物語

1982年11月23日から1983年9月6日にかけて、日本テレビ系で毎週火曜夜8時に放送された時代劇『右門捕物帖』。全33話の予定だったが、1話が欠番となり、実際は32話が放映されました。佐々木味津三原作、杉良太郎主演による本作は、それまでの同名シリーズ作品とは一線を画す、娯楽性豊かな時代劇として知られています。

ストーリー：無口な右門と、おしゃべりな伝六

主人公は、南町奉行所の同心・近藤右門。寡黙な性格から「むっつり右門」の異名を持つ彼は、優れた推理力と武術の腕前で数々の事件を解決します。彼を支えるのは、おしゃべりな岡っ引きの伝六。コミカルなやり取りで物語に軽妙なリズムを生み出します。右門は、嫡子ではないものの2人の子供を抱える父親という設定で、物語には家族の温かさも描かれており、単なる時代劇を超えた、ホームドラマ的な要素も含まれています。予告編でも「ホームドラマ＋時代劇」と謳われていた点が注目されます。

右門のライバルは、南町奉行所の筆頭同心・村上敬四郎。右門の活躍を快く思っておらず、彼との対立も物語を盛り上げます。敬四郎には、嫉妬深い妹・美根や、彼を恐れる妻・たかといった個性的な人物も登場し、物語に奥行きを与えています。また、伝六の父親である元岡っ引きの蕎麦屋・八助や、敬四郎配下の岡っ引で質屋を兼業するちょん松など、個性豊かな脇役たちが物語を彩ります。さらに、回船問屋「肥前屋」の娘であるお千代とお春は、両親を殺害された後、右門の保護下に置かれ、物語に情感を添えます。

キャスト：個性豊かな登場人物たち

近藤右門：杉良太郎（南町奉行所同心、草香流柔術、錣正流剣術・居合斬りの名手）
伝六：岡本信人（右門配下の岡っ引き）
美根：高見知佳（敬四郎の妹）
ちょん松：所ジョージ（敬四郎配下の岡っ引、質屋兼業）
八助：下川辰平（伝六の父親、元岡っ引きの蕎麦屋）
お千代：山田綾（回船問屋・肥前屋紋兵衛の娘）
お春：渡辺有希子（回船問屋・肥前屋紋兵衛の娘）
たか：横山道代（敬四郎の妻）
* 村上敬四郎：伊東四朗（南町奉行所筆頭同心）

時代背景とその他

本作は、明確な時代設定がされていない点が特徴的です。柳生但馬守宗矩が登場したり、島原の乱が語られたり、白浪五人男が演じられたりと、様々な時代の要素が混在しています。また、右門が所属する奉行所も、過去のシリーズ作品と異なっています。しかし、過去のシリーズ作品で使用された近藤家の家紋は、本作でも継承されています。

音楽は小川寛興が担当し、杉良太郎が歌う主題歌「流離（さすらい）」と挿入歌「人生・くれないに」が作品の世界観をさらに深めています。制作には、国際放映、にっかつ撮影所、ユニオン映画、杉友プロダクションなどが携わっています。

本作は、従来の時代劇とは異なる、コミカルで家族愛あふれる物語として、多くの視聴者を魅了しました。杉良太郎の主演、個性豊かなキャスト、そして軽妙なストーリー展開が、この作品を時代劇史における重要な一作にしています。

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